あの悪夢のような一夜から、一月が過ぎた。毎日では無いが、何度も痣だらけになり啜り泣いた。顔も体も黄色くなった治りかけから、未だ黒っぽいものまで幾つもの痣が有る。始めの頃は泣き喚いていたが、次第に静かに泣くようになって行ったのだ。
ナマエの両親や親族はレナードの亡き大叔父の娘アイリーンの行方を、懸命に捜索したが見つかっていない。マグルの中で暮らしているのだから、そう簡単に見つけられないと分かってはいたが、日に日に痣を増やしても、此れで怪我をしないで済む人−−−ナマエにとっては誰か確信は有ったが、言える筈が無かった。いや、言わずとも彼の代わりに自分が痛いだけなら構わなかったのだ。−−−が居るとしたら、それで良いとまで言うナマエに、心を痛めない身内では無かった。
さすがに一か月も経つと、古の愛の魔法とすら言われる現象を発現しているプリンス家の一人娘について、古くからの純血家系の人間には話が回っていた。この魔法が、スリザリン出身の者が多い家系に出やすいと知られている故に、おおよそを察していたと言うことも有った。
アイリーンの同級生だったスリザリン出身の女性たちの数人が、もしかしたら…と言う程度ではあるけれど、との前置きでプリンス家に手紙を送ってくれた事で凡その目安がつき、コークワース一帯を虱潰しに探し回った。
コークワースを調べ始めてから二か月。ようやく見つけたアイリーンと、その夫に息子の居場所は、酷く汚く見窄らしい一角だった。まさかここまでの生活をしていると知らずに他界したアイリーンの両親は、逆に幸せだったかも知れないとレナードが思う程だった。