イグニハイドの副寮長は異世界人 2
せっかく取ったハンターライセンスも意味の無い世界は、私のファミリーネームも意味を持たない。だからと言って、簡単に地に伏せる訳が無い。

入学式の翌日、副寮長に就任する為の書類を担任に提出し、自分のでっち上げた背景を利用して図書館に籠った。一般常識すら知らない私に、寮生からも見下されていると言うのは良く分かった。
隙など見せる気は無いから、物も無くなりはしないし、脚を引っ掛けられようが転ぶなんてあり得ない。むしろ引っ掛かったりなんてしない。

まあ、それでも私は副寮長だ。
一週間も見ていればイグニハイド寮生が虐められ易いと言うのは直ぐに分かった。仕方ないので、寮生くらいなら助けてやろう。寮は腕章で分かるが、カミーリアは寮生の顔と名前は一週間も有れば把握していた。寮生がカツアゲされていようが、カミーリアが気付けるものには全て対処した。その結果、イグニハイド寮生が虐められる事はだんだんと減っていった。入学式から一か月もしたら、イグニハイド寮生を虐めたらカミーリア・ゾルディック副寮長がどこからともなく現れてイグニハイド寮生を助ける言う事が当たり前になっていた。
そんなカミーリアの事を見下す者は居なくなった頃、生徒にも職員にも女が居ないとやっと気が付いたが、別に気に留めることは無かった。全て家庭内の教育で済む故に、学生生活すら初めてだったカミーリアは男子校とか共学と言った概念を良く理解していなかったからだ。
そのまま、知らない事をやってみたいから、とマジフト部に入ったり、イグニハイド寮生としては大分変わり者として過ごした。けれど、女としてのリズムは乱れず有った。それ故に嗅覚の良いサバナクロー寮生達には、部活で身近に接する機会が多い事も相まって、早々に女だと知られていた。
サバナクロー寮生の多くが夕焼けの平原出身者だった事も有り、カミーリアの様に腕っ節の強い女は故郷にも居るし、何なら縁ある動物の種類によっては、そう言う女が好ましいと感じる者は案外多かった。そして夕焼けの平原出身者の多くは、さり気ない気遣いをカミーリアに発揮した。
仕事の最中ですら、淑女として扱われたなら、淑女として振る舞うよう躾けられていたカミーリアは当然、自然にそれを受け入れて振る舞っていた。女だと隠しているつもりも無ければ、その必要すら無いと思っているのだから当然だった。
そして、サイズの大きな制服や運動着は多少はごまかせても、女らしいボディラインを完全に隠す事など不可能だった。

「カミーリア・ゾルディックくん、あなたは、女性ですよね?何故この学園に居るのです?」
クロウリーの言葉にカミーリアは首を傾げた。
「自らの意思では有りません。いつの間にか棺の中に居て、目が覚めたら棺が開いて…そのまま促されるままにイグニハイドになっていました。なんらかの依頼でも私の家にされたのかと探っていましたけれど…そんな気配も無くて、困っていました」
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