深海
#深海に沈む
子供の頃は海が怖かった。美しいと皆が言う珊瑚礁も透明度の高い海も、全て恐ろしいと感じていた。そんな私がオクタヴィネルに入る何て予想だにしていなかった。ずっと昔、それこそグレートセブンの時代には人魚の先祖が居たらしいと言う程度の薄い繋がりだ。それに、慈悲の心なんてモノを持ち合わせたつもりも無いのに、と不思議に思った。寮生の|殆≪ほとん≫どが人魚であり、寮は海の中に有る。基本的にオクタヴィネルでのマジョリティで有る彼らに合わせた造りの寮に最初はぞっとしたし、怖かった。けれど、毎日のように過ごせば麻痺した様に慣れて行く。順応性は高い方だと自負もある。
私の同級生の中で人間は私一人だったから、陸上生活での|些細≪ささい≫な常識や注意点を、気付いた時には教えて、代わりに海の中の文化を習った。彼らだって陸上生活を送るにあたっての勉強はして来ている様だったけれど、付け焼き刃では対処し切れない事も|間々≪まま≫あったから。
ナイトレイブンカレッジは、今年から共学化された元男子校だと言う事もあって、徐々に女子生徒を増やす事になっている故に、女子生徒の数は少ない。オクタヴィネル寮の女子生徒は私と、ハタタテハゼの人魚であるネマ・マグニフィカの二人だけ。幸いな事にネマとの関係は良好で、陸の化粧品についてだったり海のファッションについてだったりと話題は尽きる事は無い。
私の家系はスキンケアなんて要らないらしいと気付いたのは、ミドルスクールの頃に、近所に住んでいた同い年の男の子に「どんなスキンケアしてるの?」と聞かれてスキンケアというモノを初めて認識してからだった。母に聞いても「スキンケアってした事ないわ」と言われ、祖母も曽祖母も答えは同じだった。
2/10
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