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佐倉は一度帰宅し荷造りと家族への転職としばらく忙しく会えないと言う連絡の後、内島の案内で、とあるビルの一室に居た。
審神者名と本丸ナンバーは自動で割り振られる様で、審神者名は濃紫、本丸ナンバーは46と随分と若い数字だ。どうやら審神者になった順番らしい。今、2020年なんですけどね?2205年からじゃないの?とようやく思って、渡された資料を目を皿の様にして隅から隅まで読んでんいた。
そして分かったのは、確かに時間遡行軍との戦いは2205年からだった。けれど審神者を呼ぶのは2015年から始めると言うことで、佐倉いや濃紫達が呼ばれたのだと言う事。そして審神者になると生まれ育った時代には審神者を辞しても帰れないと言う事。どうやら始まりの五振りは選べず、自分で鍛刀する必要があるらしい事。その割に、初期資材は500ずつで、一定以下での自動増加は無さそうな上に、日課任務も月課任務も無い様に見える。
ーーー信じられないくらい、お試しでやらせてみよう感があると言うか、戦を舐めてるとう言うか……私達は試験運用の様なモノで死んでも良いと思われてるのでは?
濃紫はゾッとした。
ーーーこれでは体の良い生贄では無いのか?
「これ、私以前の審神者さんは生きてるの?」
内島の顔が強張っている。これは死んだヤツも多いのだろうと溜息が出てしまう。
「言い難いのですが、殆どの審神者様が殉職されました。今年になってから就任された貴方をはじめとする四名だけが御存命です。」
「は?それは存命とは言わないのよ。全滅よ全滅!今年が始まって未だ四日よ?未だ戦い始めてすら無い人しか生きてないって事じゃない。戦争なんでしょう?戦争を舐めすぎではないの?
良い?コレは殺し合いなの。そして戦争で我が国が負けたのは何故?
歴史を守るって言うのなら歴史に学びなさいよ。私が産まれるたった四十数年前に負けたでしょう?
あの時の敗因の一つは、補給線を維持出来ない程に戦線が広がった事もある。他にも色々有るけど、其れは未だ置いておくわ。
この戦争で時の政府とやらは、指揮官である審神者を使い捨てにしている。特攻隊の方が未だマシな程度に捨て駒にしている。人が一人成長するには約二十年の年月と、二千万円だかの金が掛かってる……それを捨て駒?冗談は辞めて頂きたいものね。
ちゃんとした補給と報奨が要るわよ。当然、心と体のケアだって必要に決まってるわ。
太平洋戦争時の日本政府ですら、最大限行っていたでしょう?まあ、其れが行き届いていないと言う残念な状態だったけれどね。
つまり、現状での貴方達のやり方は大日本帝国のより愚策って事よ。賞罰はしっかり必要なのよ。
全く、人間は幾つになっても人様の家の子なのよ。両親が居て両親に育てられた一人の人間よ。其れを二度と墓参りすら出来ない状況に置いて挙句は捨て駒にするなんてね。
自分に降り掛からないと高を括ってるの?其れともコレで戦果を上げられないのが悪い?とんだブラック企業ね。
未来がそんな風潮なら、碌でもない国に成り果てたのね。一般人を将に据える割に指揮官教育すら無くて、本丸に幽閉して死ねって言ってる……拉致監禁致死、此れが罷り通る国になってるって事だものね。
貴方達がしているのは、遊びか?違うでしょう?戦争なんでしょう?だったら貴方達だって本気でサポートしなさいよ。私も貴方達も同じ戦争中、戦時下だって忘れるな。
出来ないなら、この戦争……負けだよ。」
濃紫はイライラしていた。
こんな戦争の最前線にこんな最低限の補給すら無い状態で四十人以上を送り込み、死に至らしめている場所に送り込まれる何て冗談では済まない。
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2022/09/26 最終更新