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チョッパーの懸命な活動もあり、ミンク族の動物達はみな日常生活を営める程度には回復した。磔にされていた者達はまだ治療が続くが、そちらも命の危険はないという。破壊された国が元通りになるまでにはまだまだかかるが、ひとまずミンク族に笑顔が戻ってよかった。チョッパーの手伝いを終えてからワンダの元へ行くと、奥の部屋へと案内された。

「さあ名前、服を脱いでくれないか」
「はっ!?」

思わずワンダを見つめるが、ワンダは冗談を言っているようには見えない。ミンク族には尽くしてきたつもりだが、私に恨みがあるのだろうか。それともシーザーに何かはめられたのだろうか。どちらにしろこれから始まるのは私を辱める会としか思えない。今は女性のワンダしかいないが、そのうち男がぞろぞろと出てくるのではなかろうか。

「ワ、ワンダ……私は心を許した人にしか裸は見せたくないっていうか……」
「何を言っている、早く脱ぐんだ」

これはもうダメだと思った時、ドアが開いてナミが顔を出した。

「来たのか、ナミ」

助けを求めるようにナミを見た私は、そこでとある異変に気付く。

「あれ? どうしたの、その服……」

いつの間にかナミの服が変わっているのだ。スタイルのいいナミによく似合っているが、戦う海賊であるナミが動きづらい服や戦闘の邪魔になるアクセサリーをゴロゴロつけるとは思えない。ゾウのこの状況では服屋もやっていないだろうに、いつそんな服を仕入れたのだろうか。

「ああ、これ? 交換したのよ」
「え?」

私が話についていけないでいると、ワンダがどこからか服を取り出して言った。

「異邦人との服の交換は友情の証なのだ。昨日はナミの服を着たから、今日は名前の服を着たい。名前はこれを着てくれないか」

差し出されたのは、ナミが着ているような露出の多いドレスだった。正直私の趣味ではない。だがもうしばらく戦闘はなさそうだし、ワンダの言う通り友情の証に受け取ってもいいだろう。

「ありがとう、着替えるね」

そう言うとナミとワンダは素直に部屋を出て行った。どうやら完全に私の杞憂であったらしい。いずれにしろ見知らぬ地で辱められなくてよかった。私は気恥ずかしい気持ちになりながら服を着替えた。サンジはいつもの過剰の反応をするだろうし、男組に今の姿を見せるのはどこか気が引ける。シーザーには弱みを握られるようで何だか嫌だ。できればこのまま部屋に閉じこもっていたいと思っていた時、外で大きな音がした。ドアから顔だけを出して外の様子を窺ってみると、なんとビッグマム海賊団の一員が来たらしかった。今ゾウで暴れている様子はないが、私達麦わらの一味を前にしても同じだとは限らない。さてどうするかと思った時、サンジが口を開いた。

「ナミさんと名前ちゃんはここにいてくれ。ブルックはおれと来い」
「え」

私がいたことはすっかりバレてたようだ。まあ見聞色の覇気を使えばすぐにバレるだろうが、私達が喧嘩を売ったビッグマム海賊団に対し二人だけというのはあまりにも少ない気がする。これも相手と人数を合わせるというサンジなりの流儀なのだろうか。ビビり同盟としては、最悪の世代のベッジやビッグマム海賊団の船員と関わらずに済んで有難いのだけど。

私達が何を言う間もなくサンジとブルックはビッグマムの手下の元へ行ってしまった。残されたのは、ビビり同盟の三人とシーザーだけである。

「どうする?」
「どうするって……覗くってこと?」

これではまるでサンジのようだと思いながら私は言った。正直この安全地帯から抜け出したくないという気持ちもあるのだが、麦わらの一味としてビッグマムの手下と何を話すのかは気になる。一つ言えるのは、この機に乗じて逃げ出そうとしているシーザーを逃がしたくないということだ。

「何をっ!?」

シーザーの首根っこを掴み、私の隣へと引き戻す。

「私は別にどっちでもいいよ。ただシーザーは逃がしたくない」
「もう必要ないって言ってたんだからいいだろ!」
「パンクハザードでルフィが苦労して捕まえたから逃がしたくない」

本当はトラ男君が大事にしていたカードだからまだ取られたくないだけなのだが、それを言うとまた何か言われそうなので私は適当にルフィを使った。シーザーは不服な様子だが、強引に逃げ出そうとしない。

「じゃあ私とチョッパーで見てくるから、名前はシーザーといてくれる?」
「わかった」

見聞色の覇気を使えば話の内容は聞けるので、盗み聞きに行けず困ることはない。しかし、大事なのはビッグマムの手下と戦闘になった時のこちらの劣勢だ。相手は何を隠し持っているか分からない上に、こちらはメンバーを欠いている。私が考え込んでいると、隣で服の裾を引っ張られるのを感じた。

「オイ、オイ! 何話してんのか覇気で聞かせろ」