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その翌日もまた戦闘である。長らく訓練をしていない代わりに実践を積んだ私は、それなりに強くなったと実感していた。まず、一人の訓練ではわからない相手への間合いの取り方や技を避けるタイミングが掴めるようになった。自分の技も本番で何度も使ってこそ磨かれるというものである。
この頃になってようやく私は、戦闘とは避ける、技を出す、体勢を立て直すを繰り返すゲームのようなものであると学んだ。第七師団の団員は皆このゲームに夢中なのだ。神威さんはもっと単純な意味で戦闘を好きなのだろうけれど、その感情を理解するなど私には百年早い気がする。

などと考え事をしながら戦っていたのがいけなかったのだろうか。それとも慢心だろうか。どちらにせよ、私はあの攻撃を避ける手立てなどなかった気がする。今日攻め入った星の防衛軍は、背後にとてつもない規模の破壊兵器を控えさせていたのだ。
一瞬辺りが光ったと思った次の瞬間には私は地面に転がっていた。何が起こったのかわからない。ただ右上半身が酷く痛んでいた。辺りに広がる血の匂いは自分のものだけではないと気付いたのはそれから少し経った後だった。

戦場の後ろ側から真っ直ぐに兵器は発射されたため、最後尾で戦っていた団員は全滅だった。私は調子に乗って前方へ踏み込んでいたからいいものの、もし以前のように後ろの方で戦っていれば命はなかっただろう。先頭で戦っていた神威さん達がこちらを振り向いたのが見えた。そこまでは届かなくとも、この自分の軍の兵士さえ構わず焼き払ってしまう兵器は相当のダメージを私達に与えたらしい。一瞬神威さんの顔が酷く歪んだのが見えて、後は兵器のダメージを受けなかった夜兎が防衛軍を全滅させた。破壊兵器が一発限りだったのが幸いだろう。神威さんが敵を倒していく様子を地に伏せたままぼんやりと眺めながら、せめて気絶できたら楽だったのに、と思った。

戦いが終われば亡くなった団員の遺体の回収と撤退だ。残念ながら第七師団は三人の団員を喪った。ここでも気絶していれば誰かに運んでもらえそうなものだが、意識のある私は痛む身体を引きずって自力で船に戻った。思えば船に乗り込むのが最後じゃないのはこれが初めてかもしれない。けれどそれは死んだ団員がいるからだと思うと素直に喜べなかった。

救護室へ向かう途中、振り返ると神威さんがまた離陸の合図をするのが見えた。