04. 隣の席の


昼休み後の授業ほど眠くなるものはない。しかも教科は数学。

教室を見渡せば、夢の世界へと旅立っている人が1人、2人、3人……。
俺の左隣に座っている名字も今日は珍しく、片手にシャーペンを持ちながら寝ている。教科書は開いているのにノートは真っ白だ。

教科書の問を解きながら名字の方をちらりと見る。こいつは机に伏せずに、シャーペンを持っていない手で頬杖をつきながら寝ている。こいつの寝顔が見えた。その寝顔は小動物みたいに純粋で、何だか可愛いと思ったり。授業中に何考えてんだ俺。やっぱり、最近の俺はらしくねえ。
不意に、阿部、と先生の呼ぶ声が聞こえた。

「この問題の答を黒板に書いてくれ」
「…はい」

前に出て、先ほど解いた答をすらすらと黒板に書く。俺は数学が得意だ。先生は俺の書いた答に満足し、赤いチョークで大きく丸を付け解説をし始める。
俺は黒板の方に顔を向け、板書を再開した。

刻々と時計の針が進んでいく。授業終了まで残り5分。先生は繰り返し何度も同じ事を言っている。もうその話は聞き飽きた。
先生の話にうんざりしながら、俺は再び名字の方を見た。こいつは相変わらずすやすやと寝ている。
とうとう授業終了のチャイムが鳴り、先生は号令をするよう促した。
がたがた、と皆が椅子を引き立ち上がる音にこいつは目を覚まし、急いで立ち上がった。礼をし終わった後、こいつは真っ白なノートを呆然と見ていた。

「ノート見せてやるよ」

そう言ってノートを差し出せば、居眠りしていたことが余程恥ずかしかったのか名字は顔を赤らめた。暫くしてこいつはノートを受け取り、ぎこちなく笑ってありがとう、と小さく呟いた。


090614


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