18. 第二回らーぜ相談会


「最近どうなんですか、栄口さん?」

練習が終わった後、部室で着替えていると水谷がにやにやとした顔で尋ねてきた。

「え、何が?」
「もう、名字さんとの関係だよー!」

頬をぷくーっと膨らませる水谷。名字さんの名前が出た途端に周りの奴らもわらわらと寄ってきた。

「で、実際どうなの?」
「どうって、いつも通りだよ。でも前よりは話すようになったかも」
「昨日一緒に帰ってたじゃん!」
「まあ、そうなんだけど…、って何で知ってんの!?」
「だって見たもん」

栄口、顔赤いー!とからかう水谷をきっ、と睨む。周りを見ると他の奴らも笑っていた。後で覚えてろよ…!

「なあ、告白とかしないの?」

ひとしきり笑った後、泉が聞いてきた。

「好きなんだろ?名字結構可愛いし、他の奴に取られるぞ」
「あー…、そうなんだけど…」

泉の言葉に曖昧に答える。
名字さんの事が好きだ。あの屋上での出来事や、成り行き上とはいえ彼女を抱きしめた事はあったけれど、多分彼女は俺の事を良い友達ぐらいにしか思っていないだろうし、もし振られて気まずくなるなら今のままのほうが断然いい。
彼女と会田が話していた時には、彼女を譲りたくないとかそんな気持ちになったのに、とも思う。けれど、以前気まずくなって話さなくなった事があったからか、今のこの関係を手放すのが怖い。
だから、告白は、できない。

「じゃあ、栄口はこのまま告白しないでいる気なの?」

俺の心を読んだように西広が尋ねた。

「泉も言ってたけど、これから先名字さんに彼氏ができるかもしれないし…、後悔するのは自分なんだよ?」
「そうだよ、男なら当たって砕けろ!」
「いや、砕けちゃ駄目だろ」
「細かい事は気にしないでよ、花井」
「水谷、お前は黙ってろ」

花井がさっきから騒がしかった水谷の頭を叩く。そんな様子を尻目に、皆は顎に手をあて、真剣に悩む。
そんな中、思い立ったように巣山が声を発した。

「来週も一緒に帰ってさ、その時告白してみれば?」
「え…?」

じっ、と俺の顔を見てくる。正直居たたまれない。
告白するなんて言ってないんだけどな…。そう思いながらも俺はただ考えとくとだけ答えた。

「じゃあ、俺、名前に好きな奴聞いてくる!」
「え、それは止めて」

田島の発言に、それは流石にリスクが高すぎるという事で、丁重にお断りしておいた。


090824


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