23. 砂糖菓子の笑顔


「…何か違うんだよな」

久々に沖と西広も呼んで四人で一組で弁当を食べていた時、巣山が呟いた。すかさず沖が反応する。

「違うって?」
「いや、名字の笑顔がさ、俺らと栄口で違うんだよ」
「そうなの?」
「…変わらないと思うけどなあ」

名字さんは俺に対しても俺以外の奴に対しても、同じようにあの優しい笑顔をしていると思うんだけど…。でも、巣山が言うには違うらしい。何か違うのだろうか。
巣山は相変わらず顎に手をあてて悩んでいて、沖と西広は首を傾げている。俺も不思議そうに巣山を見る。そこに、タイミング良く話題になっていた名字さんがやって来た。

「あ、沖くんと西広くんだ」
「えっ、俺たちの名前覚えててくれたの?」
「もちろんだよ!」

驚いている沖や西広に名字さんはにこりと笑いかける。

「名字、何か用か?」
「あ、そうそう、昨日の提出物返しに来たの。はい、巣山くんの分」
「どうも。…って、今日日直じゃないよな、お前」
「うん。日直の手伝いしてるんだ」
「名字さん、偉いね」
「偉くないよ、そんな!私が手伝いたかっただけだし…」

西広の言葉に照れる名字さん。彼女はそれから俺の方に向くと、はい、とノートを差し出してきた。

「これ、栄口くんの」
「ありがとう、名字さん」
「どう致しまして」

お礼を言うと名字さんは目を細めてふんわりと笑った。とくん、と胸が高鳴る。

「野球部は仲良しだよね」
「そうかな…?」
「うん、羨ましいくらい」

彼女はもう一度笑ってから、提出物が山積みになっている教卓に向かった。まだ日直の仕事を手伝うみたいだ。

「あ、分かった」

唐突に、西広がぽんっと手を叩きながら呟いた。

「だろ?」
「うん、何か、こう、ね」
「だから、皆同じだって…」
「俺も分かったかも」
「え、沖も!?」

分かってないのは俺だけ?でも、どう見たって変わらないし…。
三人を見ると、巣山はにやりと笑っていて、他の二人は苦笑していた。

「案外自分では気づかないのかもね」
「栄口、意外と鈍いところあるし…」
「え、何が?」
「今後の栄口に乞うご期待、だな」
「そうだね、栄口頑張れ!」
「だから、何が…!?」


090826


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