01.


二年の冬。俺に話しかけてきた子がいた。同い年で、くのたま教室の名字名前。彼女は淑やかで、言葉遣いもきれいで、女子とあまり交流がなかった俺はすぐに恋に落ちた。
彼女と一緒にいる時間は心地よくて幸せで、いつの間にか勘右衛門も加わって、三人で縁側でのんびりしたり、町へ買い物にいったりした。

ずっとこのままいられたらいいのに。
そう思っていた頃、三郎が俺に告げてきた。

「私、名字を好いているんだ」

その言葉に、俺は三郎の目を見ることができなかった。
それから三郎は事あるごとに彼女が好きだと言ってきた。八左ヱ門も雷蔵も皆知っている。
俺も彼女を好いていると言いたかった。けれども、時は遅し。皆三郎を応援していた。唯一勘右衛門だけは俺の気持ちを知っていた。三郎に名字を紹介してやったらどうだ?そう言われたけれど、俺は笑って受け流した。
三郎に紹介したくなかった。俺たちの中に入ってきてほしくなかった。


110208


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