10.


いつの間にか一人になっていた。
友人は揃って“あれ”のところへ行ってしまった。自分も彼らと同じように“あれ”を愛することができたのなら何も問題もなかったけれど、僕には“あれ”が何だか気持ち悪くて、見る度に吐き気が襲ってきた。寂しいなあ。僕の呟いた声は彼らには届かなくて、でも拒否されるのが恐かったから、僕は“あれ”に群がる彼らに近づくことはできなかった。

今日も遠くから彼らを眺める。今、彼らが“あれ”に向けている笑顔はちょっと前だったら僕に向けられていた。
邪魔だなあ。そう思った時、あることに気が付いた。友人が“あれ”に群がるようになったのは“あれ”のせい。僕が一人になったのも“あれ”のせい。それなら、“あれ”を排除してしまえば元通りになるのではないだろうか。思わず、にやり。こうなれば、善は急げ。踵を返して自室に向かう。待っててね、皆。もう少しで元通りだから。


120422


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