06.


嫌い嫌い嫌い。
もう何もかも嫌。助けてと喚いても、もう救世主は現れないんだ。

そんなときはどうしようか。とりあえず、制服から私服に着替えて、外出届をもらってこよう。そしてそれを小松田さんに渡して忍術学園の外へ。
山道を歩いて歩いて、たどり着いたのは崖の上。下を覗いても底が見えない。
さて、行きますか。そう言って、一歩踏み出した。


「待てよっ!」

不意に腕を掴まれる感覚。振り向けば、鉢屋がいた。

「離して!」
「絶対離さない!」
「何で、邪魔しないでよ!」
「嫌だ!」

鉢屋の手を振りほどこうをしたけれど、全然離れない。

「もう、やめてよ…。鉢屋はエリ子さんを好いているんでしょ?!何で私に構うの?!」
「何でって、お前を好いているからに決まっているだろう!兵助が言っていたことは嘘だ!私はずっと前からお前を好いていたんだからな!」

鉢屋はそう言って、そのまま私を抱きしめた。
また、一時の温もりに縋りそうになったけれど、ふと兵助の言葉が頭に浮かんできて、懐から出した苦無を鉢屋の脇腹に突き立てた。
痛みによってか、鉢屋は膝をつき、脇腹を押さえた。

「嘘ばっかり…。何が本当なのかわからない…!」
「…っおい!」
「もう何も信じられない!」

鉢屋の拘束から逃れた私は、苦無を首に宛がい一線、そして数歩下がった。ふわり、と浮遊感が気持ちいい。

そうして私は奈落の底へ。


110208


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