02.
私と出会ったばかりの名字は、年相応に笑う、素直で明るい子どもだった。多分、私はそこに惹かれたのだと思う。
そんな彼女が今のような、丁寧な言葉を遣い、淑やかに振る舞うようになったのは二年の冬。彼女は恋をした。その相手は何をあろうか、私の友人である兵助だった。兵助の好みは淑やかで大人しい子。成る程と思った。
態度を改めた名字は、それから兵助と仲良くなっていた。対する私は手裏剣の一件以来話をしていない。彼女の都合と私の都合が全く合わなかったのだ。
彼女を変えてしまった兵助が恨めしかった。それでも私は彼女を好くのを止められなかったから、せめて牽制をと思い、私は兵助に告げた。
「私、名字を好いているんだ」
「…そっか」
兵助は私の目を見なかった。
110208
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