「……うわあっ!」
「ロイド?」
ミトスくんを抱きしめたまま後ろに視線をやれば、ロイドが何かに吹き飛ばされたのが見えた。
何に、なんて、考える必要はない。だって、視界の端には彼の手が映っている。光を集める彼の手が。
……ミトスくんがロイドに攻撃をしたんだって、わかってしまう。
「ミトスくん、なんで……っ」
「よくもナギサを傷つけたな」
すうっとユグドラシルの姿に変わったミトスくんは、まっすぐにロイドを睨みつけている。
傷付けるもなにも、さっきかすったのはミトスくんの魔法だし、それだって怪我と言えるほどのものじゃない。確かに痛いは痛いけどそれだけだし、彼を攻撃する理由なんてどこにもないはずなのに。
「ミトスくん!」
「大丈夫だよ、ナギサ。おいていこうとして、ごめんね」
止めようともう一度腕に力を籠めようとして、それより先にどんと突き飛ばされて床に尻餅をつく。慌てて立ち上がろうとしたけれど、その前に光の剣がわたしに向かって降り注いできて、ぎゅっと目を閉じた。
直撃は、していない。今の魔法は間違いなくミトスくんのものだし、攻撃の意図はなかったのかもしれない。けれど目を開いたところで、これは攻撃というより捕縛の意味で使用されたのだと気付いてしまった。
光の剣がわたしの腕や足の隙間の服に突き刺さって、上手に動かせない。しかも、服だけでなく帯まで貫くようにして地面に縫い付けられてしまったせいで、帯を傷付けないようにと考えるなら身動きすらできない。
無理やり起き上がればいい。傷ついても起き上がればいい。でも、それができない。したくないって思ってしまう気持ちが確かにある。だから傷つけられてはいないけれど、完全に動きを封じられた。
そのことに青ざめながらミトスくんを見上げれば、彼は上手に読めない表情でわたしを見下ろしていた。
「ボクと姉さまとナギサ……三人で生きよう。三人ならどこにだって行ける。そう言っただろう?」
「ミトスくん……っ!」
わたしに背を向けてロイドたちに向かって魔法を唱え始める彼を見たら、悔しさでどうにかなってしまいそうだった。
なんで。なんで、ちゃんと話を聞いてくれないんだろう。同じ言葉を使っているはずなのに、どうして届いていないのだろう。
一緒にいたいって言葉に、彼はいつも明確な答えをくれない。
いいよともだめとも言わないで、そのくせ優しくしてくる。
はっきりと言ってくれれば、わたしだって覚悟を決めるのに。ううん、戦うって、ちゃんと決めたのに。こうしてわたしが選べないようにして、そのくせ三人で生きようって、あの頃みたいなことを言う。
わからない。わからないよ、ミトスくん。
お願いだから。
声を聞いてよ。