「本気を出させてもらうぞ」
「ああ。俺も本気であんたと戦う」
それぞれが武器を構えて、見つめあう。
お互いの隙を伺っているのだろう。クラトスさんもロイドも、相手の動作に集中しているのがよくわかった。
そして……地面を蹴りだすのは、二人同時だった。
「魔神剣・双牙」
「虎牙破斬!」
クラトスさんの放つ斬撃を、ロイドは大きく跳ねることで交わす。うまい。そのまま攻撃へと転じるが、それはあっさりと受け止められてしまった。
力比べになってしまうと、どうしてもクラトスさんが有利になる。技の勢いそのままに後ろに吹き飛ばされて、ロイドは慌てて体勢を戻した。
二人の使う剣技は、似ているようで似ていない。同じ特技を使うこともあるけれど、使っている剣が違うのだから、当然違うものになる。
何度も技がぶつかって、弾かれて。思った以上にロイドが食いついているけれど、なかなかダメージは与えられない。クラトスさんからも決定的なダメージを受けていないという意味では善戦しているけれど、これではじり貧だ。思わず、祈るようにぐっと両手を握りしめる。
「グレイブ」
「裂空斬!」
クラトスさんも、このままでは埒が明かないと判断したのだろう。もしくは、剣技だけでなく、術も使うことで本気を示しているのかもしれない。
ロイドは先ほど同じように、技を利用しながら地面を突き上げる岩を避ける。術を使えないロイドは、けれど自分の持てる力すべてを叩きこむように攻撃を繰り出した。
「剛・魔神剣!」
「烈風空牙衝!」
クラトスさんとロイドの刃が、再びかち合う。
鍔迫り合いの中、ロイドが強く吠えた。
「ぐ……う、おおお!……クラトス!」
「……っ」
ガキンと。その咆哮に応えるように、ロイドの剣がクラトスさんの剣を弾く。
手から武器が離れたその瞬間。その大きな隙を、彼は見逃さない。
渾身の力で技を叩きこむと、クラトスさんの体が大きく傾いた。
それでいい。それだけで、もう、すべての決着がついた。
「……決着はつけたぜ」
……勝ったのは、ロイドだ。