138-1

石碑の上に姿を現した精霊に、わたしたちはごくりと息を飲む。
あれが、オリジン。
世界を二つに引き裂いた魔剣を作り上げた精霊。

「資格なき者よ。私はすべてに失望している。お前も私を失望させるために現れたのか?」

まるで体の中に響くように声が聞こえてきて、全員が彼を見る。
その目は彼が言う通り、すべてに失望したように暗くよどんでおり、今の自分は契約をする気にはなれない、と言葉以上に語っていた。

「オリジン。お前はミトスとの契約に縛られていないのか?」
「我の解放と共にミトスとの契約は破棄された。もはや、何人たりとも、我と我そのものを行使することはできぬ」
「誓いをたてても、ダメなのかい? あたしたちにはエターナルソードが必要なんだ!」
「エターナルソードで、二つの世界を一つに統合したいんだ。そして、大樹カーラーンを復活させる!」

そのためにお前の力が必要なんだ、とロイドはこぶしを握る。
相変わらず強くて、まっすぐな目が、オリジンを射貫くように見据えている。

「このままじゃ、世界は永遠に搾取しあって、みんな絶望しちまう!」
「それは……自らと違うものを認められない人という生き物の弱さから発生したことだろう」
「確かにそうかもしれない。でも間違いは、気付けば正せるはずだ」
「取り返しのつかないこともあろう」
「それでも……できる限りのことをしなくちゃ……」
「そうだ。俺は諦めたくない。誰だって、生まれたその瞬間から生きる権利がある。それを取り戻したいんだ。人もエルフもハーフエルフもドワーフも精霊も……みんな、自分であるっていうだけで、生きてる価値があるはずだろ!」

間違えてしまったから。失望したから。もうどうにもならないから。
そうやって諦めてしまうのは簡単だ。わたしたちだって、ここまでの間にいろんなことを間違えた。いろんなことを傷付けて、迷って、立ち止まりそうになったことはたくさんある。
でも、それをロイドは選ばない。諦めなかった。だからわたしたちは、ここにいる。少しずつでもいいから、できる限りのことをしていきたいと。
……自分の意志で生きたいと、そう決めたのだ。
だから力を貸してほしい。一緒に選んでほしい。そう言葉を尽くすロイドを、オリジンは静かに見つめていた。