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この先。これから起こる戦いこそ、最後のものになるだろう。
これからの未来を。世界の統合を。すべてをかけた最後の戦いが、これから始まってしまう。
その緊張に体を強張らせているのはわたしだけではない。みんなが緊張した面持ちで階段の上を見上げて、それから、ぐっとこぶしを握った。

「準備はいいか?」
「私は問題なくてよ。これから起こる戦いを、あるがままに受け入れる。……そして勝つわ」
「ああ、勝つよ。ミズホの里のみんなや、コリンや……臆病だったあたしを信じてくれたみんなのためにも」
「そして……自分のためにも。もう誰も、私みたいな間違いは繰り返してほしくないから。自分が犠牲になれば……それでいいなんて歪んだ考え方は、ダメだから」

全員が、ロイドの問いに順番にうなずく。

「誰だって、みんな当たり前に暮らしていいんだよね。この世界にいてもいいんだよね。人もエルフも……ボクたちも」
「その通りだ。だから我々は、この戦いでミトスから大いなる実りを取り戻し、大樹をよみがえらせなければならぬ。それがなければ、異種族の間のしこりを取り除くことはおろか……」
「世界は……滅亡します。それは、悲しいことです。私たちは世界を統合し、新たな世界に、新たな約束を結びましょう」

ミトスくんがどんな気持ちだったのか、みんな、まったくわからないわけじゃない。きっと同情する人もいるだろう。
それでも、彼がしてきたことは、間違いだと思うから。それは、ちゃんと悪いことだって言わないといけないから。そうして今度こそ、彼も最初に願ったような世界を目指して、新しく歩き出す。
そのための戦いだ。これは、これからも戦い続けるための、戦いだ。

「俺さまが好きな奴も、俺さまが嫌いな奴も、俺さまの住む世界にいていいってこった。それが「当たり前」なんだからなあ。だから俺さまも……逃げないぜ」
「わたしも、もう逃げないよ。ちゃんと戦う」

それが、わたしができる、唯一だ。ちゃんと向き合って、ちゃんと戦う。彼の選んだことを見届ける。それが……彼を一人にしてしまったわたしがしなくてはいけないことだ。
きっと。彼が、選んだこと。
四千年をかけて、選び続けてきたこと。
さっき、流れてきた、彼の気持ち。

───エクスフィアって、恐ろしいものなんだね
───間違えているかもしれないと、思ってしまったボクは

わたしは、もう逃げない。
戦いたくないって言っていい時間は終わった。対話でどうにかすることができないからって、あきらめることも選ばない。旅をして、見てきて、選んできた選択をやり通さないといけない。
わたしは、わたしのいるこの場所で、今立っている場所で……ちゃんと、ミトスくんと、向き合う。

「ミトスくんが、選ぶことを。ちゃんと最後まで見届ける。真正面から戦って、受け止める。……それが、わたしがするべきことだと思うから」

この手が届かなくても。もう、わたしたち、お互いを選ぶことは絶対にないとしても。
最後まで目はそらさない。今度こそ戦う。
みんなで目を合わせて、うなずきあって。そして、一歩を踏み出した。

「よし、行こう! 誰もが生きていることが当たり前の世界を取り戻すために!」