そうして、山岳を降りていくミトスとジーニアスを再び影から守って、鉢合わせないようにと少し時間をずらして帰る頃には、花の蜜による薬の効果で、リフィルさんの熱はだいぶ下がっていた。
よかった、と安心したのもつかの間。二人してどこに行っていたんだと怒られてしまったのは、まあ、仕方ないことだと受け入れよう。ここで実は、なんて、言えるわけもないし。
「俺たちも頑張ったんだけどな……」
「仕方ないよ。あの場でジーニアスたちの後をつけてました、なんて、言いにくいでしょ。あんな、二人のことをみんなが褒めちぎってるところにさあ……」
「そうだよな……実際、二人とも頑張ってたしな」
「そうそう。花を持たせるってことで。それにほら、わたしたちはお互いに頑張ったこと知ってるし。ね。ロイドもえらいえらい」
「ん……さんきゅ。ナギサもえらいえらい」
二人で外に出て、お互いの頭を撫で合う。
今回は、ほら、やっぱり、小さい二人の友情の冒険がメインだったし。影からサポートするだけのわたしたちの頑張りを、二人はもちろん、他のみんなも知らないままなのが、物語としてはとてもきれいだ。
……そう言い聞かせて、ついでに全く誰も頑張ったことを知らないわけじゃないしと励まし合うことで、ちょっと怒られてしまった悲しみは、なかったことにする。
「……ロイド、ナギサ」
そうやって慰め合っていると、ふと、扉を開けてジーニアスがこちらへと歩いてきた。
こそこそ、という表現が近いような、静かな動作に、わたしたちは首を傾げる。
「ん? どうした?」
「……今日。フウジ山岳で助けてくれたの、ロイドでしょ? きっと、ナギサも一緒にいたよね」
どきり。
ジーニアスの言葉に、わたしたちはそろって頬を引きつらせる。
い、いったい、どこでバレていたのだろう。だって最中は全然こちらに気付いている素振りなんてなかったのに。
「えっ……それは……」
「アリガト」
口ごもってしまったことこそが答えだと彼は判断したのだろう。ちょっと照れくさそうに、他のみんなには聞こえないように。はにかみながらありがとうと言ってくれたジーニアスに、わたしたちはなんだか頬が熱くなる気がした。
ちらりと見たロイドは、やっぱり頬を染めていて。照れくさい、という顔で頭をかいたあと、ぺこりと頭を下げた
「……どーいたしまして」
「……お役に立てたならよかったです」
ロイドにつられてわたしも頭を下げれば、ジーニアスがおかしそうに笑う。
……ロイドと、ミトスと。どちらの友達のことも大好きだって言った言葉通り。ジーニアスはこっそりと隠したこともちゃんと見て、好きだって言ってくれるんだなあと、こっそりと感動した。