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「あとはマナのかけらだな。本当にデリス・カーラーンにあるのかな……」

ルーンクレストを作るために必要な素材は、ジルコンとマナリーフとマナのかけら。
この三つのうち二つは無事に手に入れることができたのだから、残るのはとひとつだ。
教典にある一説から、おそらくデリス・カーラーンにあるだろう、とは推測されるけれど、本当かどうかはわからない。そのため一番最後に回していたけれど……ここまでの間でそれらしい情報は手に入らなかったあたり、デリス・カーラーンに行くしかないのだろう。
敵の本拠地ということで危険ではあるけれど、虎穴に入らずんば虎子を得ず、ということで。危険を冒さないと大事なものは手に入らないのなら、行ってみるしかない。

「行ってみようぜ! クルシスの本拠地、デリス・カーラーンに」
「でもどうやって行くの?」

デリス・カーラーンって、マナの塊の彗星なんでしょ、と問えば、勢いよく宣言したロイドが困ったようにみんなを見る。
それに苦笑しながら答えたのはゼロスくんだ。

「経典によると、救いの塔が入り口になってるな」
「じゃあ、救いの塔に行けばいい。こっちにもあるだろ?」
「そりゃあるけどよ。あそこに行くには俺さまのクルシスの輝石が必要なはずだぜ。救いの塔は、クルシスの輝石が鍵の役割を果たしているからな」
「詳しいのね」
「俺さま、神子ですから〜」

わざとらしく優雅に一礼してみせる彼に、ついつい忘れがちになってしまうのはなんでだろうなあと不思議な気持ちになる。
たしかに、あまり神子をイメージさせるような厳粛な態度はとっていないけれど、それはコレットも同じだ。ほわほわしたコレットと、へらへらしたゼロスくん。そんなに差はないような気がするのに、神子である、ということを忘れがちなのは、いったいどうしてだろう。

「そっか。お前もクルシスの輝石をもって生まれたんだよなあ」
「そーゆーこと。今は妹に預けてある。トイズバレー鉱山の南東にある修道院だ」
「妹……その子がセレスちゃん?」

以前、教皇を追い詰めた時に出てきたものと同じであると指摘すれば、ゼロスくんは少し驚いたようにまばたきをして、それから、またへらりと笑う。
あれ、と何かが引っかかるような気がしたけれど、それよりも先に、ゼロスくんは口を開いた。

「ん、ああ、名前は出てたな。そうそう、妹って言っても腹違いでな。俺さまに似なくて、真面目で文武両道、かわい〜い妹だよ」

その可憐さに驚け、なんて言いながら、ゼロスくんは何故か、わたしたちから微妙に視線をそらしていた。