「聖なる鎖に抗ってみせろ……シャイニング・バインド!」
いくつもの光が降り注いで、わたしたちの体を貫く。
痛い。眩しい。彼の天使術は相変わらず威力が高いし、剣技に隙もない。多人数で戦っていると言うのに、彼に大したダメージを与えられないことが歯がゆく、そして今もなお広いままのクラトスさんとの力の差に涙が出そうだった。
それでもまだ立て直せる、と思ったのに。まだ戦えると、みんなが思っていたのに。
気付けばわたしたちよりも多くの天使たちが周りを取り囲んでいることに気付いて、わたしたちは攻撃の手を止めた。
「抵抗はやめることだ。抵抗すれば容赦はしない」
数の差は、戦いにおいて重要な力だ。
だからこそ、クラトスさん一人に苦戦する自分たちでは、この人数の天使を突破できるはずがないと理解してしまう。
ここで暴れても無駄だ。どうせなら、このまま中に連れて行ってもらおう。
そう小声でわたしたちに告げたリフィルさんにうなずいて、わたしたちは戦闘の構えを解く。クラトスさんも剣をしまって、天使たちにそれぞれを拘束させた。
「待て。……その女は別の場所へ連れていけ」
全員まとめてクラトスさんが出てきたワープ装置へ連行されようとしたところで、ぐいと腕を引かれる。
みんなの輪から離れてしまったところで、どうやらわたしだけ、みんなとは違うところへ連れていかれるらしい、と理解した。
……その、違うところがどこかも。すぐに、理解した。
「ナギサをどうするつもりだ!」
「……お前だけを別に連れていく理由。おおよそ察しがついているだろう」
ロイドの声を無視して、クラトスさんは静かにわたしを見つめる。
……うん。なんとなく、わかっている。わかっているよ。
わたしだけを別に連れていくのは……ミトスくんが、呼んでいるから、だ。
チャンスがあればわたしから、とも、思っていた。けれど突然そのチャンスが舞い込んでくると、どうしてもしり込みしてしまう。黙って、何も言えなくなる。
会って、わたし、何を、言えるのかな。
「ナギサ!」
はっと、名前を呼ぶ声に顔を上げる。
それは、他の天使たちに囲まれているしいなの声だ。
彼女は、わたしを見つめている。……頑張れって、言っている。
「大丈夫! ……絶対に、あとで合流しようね」
だからわたしも、そう、うなずいて。
静かに、天使のあとに続いた。