「ま、まあ、とにかく、そのかいあって、マクスウェルと契約できたってこと……」
「いいや? 契約はできぬぞ。地水火風すべての力と、精霊の主との契約……ワシとの契約をおこなうには、最低でもその条件がそろっていないとのう」
ぼろぼろになっただけの成果はあったさ、と誓いを立てようとしたしいなに、マクスウェルがけろりとそんなことを言う。
もちろん、戦っていたメンバーは愕然とした。そのために戦ったと思っていたのに、今は条件が足りていないから契約できないよ、なんて後出しで言われたら、そんな反応になるのも当然である。
「……じゃ、じゃあ、今の戦闘はなんだったんだい!?」
「そう慌てるな。きちんと意味のあることじゃよ。地水火風の精霊と契約せし召喚士よ。そなたたちであれば、これを託すにふさわしいじゃろう」
そう言うと、マクスウェルは手をかざして、しいなの手の上に何かを落とす。
普段なら契約の指輪を受け止める彼女の手のひらに乗ったのは石だ。宝石、というには輝きが足りないけれど、そこらへんに転がっているそれとは、何かが違う空気を纏った石を見て、彼女は首を傾げる。
「これは?」
「それは魔界を浄化する聖なる石じゃ。それを使った封魔の魂炎によって魔王を焼き尽くすには、その石が封魔の力を宿すまでユミルの森の水につけておかないといかぬ。じゃが、非常に時間がかかるものでの。それまで、ワシが預かっていたのじゃ。どうかこれを使って、魔王が封じられた書を燃やし尽くしておくれ」
マクスウェルが言うには、その魔王というのは現在、本という形で仮の封印が施されているらしい。
本を開いて、道を歩いて。そうして、決められた場所でこの封魔の石を使っておこした火で本ごと燃やすことで、その役目は果たされるのだとか。
もしかして、あの剣の魔物とかがこちらをさまよっていたのは、その魔王とやらが関係してたりするのだろうか。それが魔界に通じる道を作ってるとか、魔王の封印を解こうと他の魔界の者が行動してきたとか……そんな感じで。
彼は、満足して消えていったようだけれど……同じように、戦いを求めてさまよう者がいるのなら、ちょっと気になるな。その本ってどこにあるんだろうと考えていると、リフィルさんがふむ、と指を顎にあてた。
「魔界の……もしかして、サイバックにあった、あのエクスフィアのついた本を封じるのに使うのかしら」
「え、そんなのあったっけ」
「シルヴァラントとテセアラ、どっちに残るかって話をした時に、一緒に見ただろ。魔界の力が宿っていて、開くこともできそうにない本があって……」
「え……覚えてない……」
みんなの目が一斉にこちらを向く。なんだったら、この会話の間ずっとわたしの前に座り込んで頭を撫でられていたゼロスくんまで、ちょっと呆れたような目を向けている。
そんなにみんな周知のことなんだ、と理解すると、なんだか急に恥ずかしくなってきて。わたしはゼロスくんから手を離して、もう、と膨れて見せた。
「し、仕方ないじゃん。たしかあの時、ミトスくんの文献探すので一生懸命だったの!」