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「これより適性検査を行う! ルカ・ミルダ! イリア・アニーミ! スパーダ・ベルフォルマ! あと、それと名前がわからんが変な格好の女! 以上4名、出ろ!」
「へっ……変な恰好!?」

いきなり入ってきてそう言い放った彼らに、わたしは愕然とする。
変な恰好ってなんだ。由緒正しい日本の制服だぞ。というか、可愛い制服のところがいいって思って頑張って受験したのに、変とはなんだ、変とは!
だんだんとムカムカしてきたあたりで、嘴のような仮面に黒尽くめの恰好をした相手の人達の方がよっぽど向こうの方が変だ、と思うことで必死に怒りを飲み込んだ。

「ああ? 適性検査だと? なにやらされんだよォ」
「貴様らの戦闘能力を検査する。詳細は話せん!」
「戦闘能力ぅ? はッ! 上等じゃねーか!」

いやいや冗談じゃないよ。
サーッと青ざめていくのを感じて、わたしは小さく首を振る。
パッと見た限り、ルカくんも赤毛の……イリアちゃんもそれぞれ武器を持っているようだけど、わたしは善良な一般市民です。持っているのなんて通学鞄くらいなのに、そんな事は気にされていないらしい。
戦うとか、そんなことしたことないです。殴り合いの喧嘩だってしたことないです。無理です。無理無理。何を見て言ってるんだこの人たち。

「あのぅ、チトセさんは来ないんですか?」
「教団への入信を希望する者には適性検査は行われない。お前らも入信を希望するか?」
「あ……そ、そういうことなら……」
「わたしも……」
「だーれが入信なんてするもんですか! バーカバーカ!」
「ったりめーだろ? 教団になんか入りゃしねーよ! なあルカ? ミオ?」

入ります、と言う前に、イリアちゃんとスパーダくんが喧嘩腰になってそう突っぱねる。
ご丁寧に名前を呼んでわたし達の逃げ場まで埋めてきた目には悪気なんて全くない。なんということだ。
わたしとルカくんは顔を見合わせて、はあとため息を吐いた。

「はん。その度胸は認めてやろう。だがそれがいつまで続くかな? それでは付いて来い!」

適性検査とやらは違う場所で行われるらしい。
意気揚々と歩き出す二人から遅れて、目に見えて落ち込むわたしたちに、それまで様子を見守っていたチトセちゃんが心配そうに近付いてきた。

「ルカくん、ミオ、気をつけてね」
「うん……ありがとう」
「がんばる……」

ああ、わたし、どうなってしまうんだろう。
せめて痛い思いはしたくないな。