バッとみんなが武器を構えながら振り返ったところで、そこにいるのが味方であるレグヌムの兵士だと気付いて慌てて動きを止めた。
味方に攻撃するわけにはいかない。そう思って構えを解いたが、兵士はルカを見るなりサッと表情を変えた。
そこに浮かぶのは、もうここでさんざん見た表情。憎しみと怒りだ。
「き……貴様、アスラだな! こうして再び巡り会うとは! さあ潔く剣を抜け!」
「……ええ!?」
「おいあんた、オレ達味方だぞ。味方と戦うなんて軍規違反だろ!」
「アスラ……お前のせいで……お前が……お前がいたから! 世界はこうなったのだ! おのれぇえ!」
「うわああっ!?」
研究所の時のように変身した兵士が、その大剣を力いっぱい振るってきた。
なんとか避けるけれど、そこに容赦も躊躇も一切ない。今の自分の立場なんかよりも、前世の怒りの方が彼を支配している。
「ダメだ、正気じゃねぇ!」
「そ……そんなぁ。味方なのに……それに僕、アスラだけどアスラじゃないよ!」
「黙れ! 黙れ黙れ黙れ!」
乱暴に振り回してくる大剣を必死に避けて、イリアの近くまで急いで逃げる。
後衛の彼女とだいたい同じくらい敵から距離を取る。そして攻撃の当たらない場所から回復に専念する……それが、今わたしが出来ることだ。
「あわわわわわ」
「ミオ! あんたは下がってなさい! ストロングバレット!」
……冷静に実行できるとは言ってないけどね!
二丁銃で次々と弾を吐き出すイリアの援護を受けながら、スパーダが素早く剣を繰り出し、動揺していたルカも振り払うように大剣を振るう。わたしも彼らの力に少しでもなれるようにと治癒術と支援術繰り返し使う。
いくら相手が神の姿に戻ろうと、数の力には及ばない。攻撃を繰り返せば、やがて相手はどうと倒れ伏した。
それでも譫言のように恨み言を呟き続けて……やがて、ぷつりと途切れた。
「転生者にとっては、もう今の敵味方関係なしかよ……」
「転生者を探して話を聞きたかったけど、もう元ラティオの転生者に会うのはコリゴリね」
はあとため息をついてそれぞれの得物をしまう。
わたしもホッと息を吐いて戻ってきた時だった。
「う……うわああああ!うわ!うわあ!」
そう叫び声を上げながら、ルカががむしゃらに大剣を振り回しだしたのは。