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「なるほど。お主は天と地どちらでもない場所におるのだな」

そっと手を差し伸べた小鳥は、ぴい、と鳴いては我の言葉にうなずく。
最近できた友人であるこの小鳥は、どうも他の天に住まう生き物とは何かが違うとは思っていたけれど、そもそも別の世界から来たのだと言われれば納得だ。
世界がひとつではないなんてこと、とっくの昔に知っていたから。世界を渡る存在がはるか昔から存在することを、我々は知っていた。

「ふむ。世界の境というのは、存外薄いものだと聞いておる。夢の中で別の世界に集うこともあれば、鏡のように映し出されるとか。あとは平行世界を渡る術や、世界を渡るタイムマシンみたいなものもあったかのう」

可能性の数だけ、物語の数だけ、世界は存在する。そして、その世界の境界というのは思っている以上に薄く、近いものだ。
触れ合えるようで触れ合えない距離に存在するさまざまな世界がひとところに集うこともあるとよく聞くし、この小鳥のように、稀に別の世界から来た客人が現れることもあるから、さほど驚くことではない。
この小鳥は、我の世界とは違う法則を持つ世界からやってきたらしい。
だから、目の前にいるけれど、実際には目の前にいない。少しだけ空間や法則がズレた場所にいるから、こうして手を翳してみても、小鳥に触れることはできない。

「まあ、だから、お主がどこの世界に生きる者であろうと我には関係ない。重要なのは、お主の歌声がとっても素敵であるということじゃ」

それは少しだけ、寂しいかもしれないけれど。
触れ合えずとも声は届くなら、我らは良き友人になれる。
そしてなにより、我はこの小鳥がとても気に入っていたから。

「もう一度、我のために歌ってはくれぬか?」