12-3

はっと意識が引き戻される感覚に息を飲む。
今のって、白昼夢、だろうか。先ほどからまったく時間は過ぎていないようだし、一瞬のことだったのかもしれないけれど、その間に、わたしは「彼女」のことを思い出していた。
愛らしく歌う小鳥。ウズメの友となった、触れられない、違う世界の客人のこと。
いったいどうして、このタイミングで思い出したのだろう。

わからない。けれど、目の前にいる敵は悩む時間なんてくれない。
こちらを威圧するように睨み、グルグルと唸る魔物は、先ほどまでの敵とは明らかに違う。その空気に、スパーダでさえ冷や汗をかきながら武器を構える。

「と、とにかくやるわよ! ツインバレット!」

この魔物を避けて通ることはどちらにせよできない。そう言って最初に攻撃したのはイリアだ。
素早く銃を打つが、魔物はそれが命中したのかもわからないくらいに無反応である。代わりにその長い首を使って地面を叩きつけると、衝撃だけで十分なダメージが飛んできた。
その後、前衛の二人も刃を振り下ろしたけれど、やっぱり同じだ。ダメージが通っている様子がない。

「き、気のせい? なんか、全然効いてないんだけど……!」
「こんなのアリ!? ズルいじゃないのよ!」
「なんでこっちの攻撃がきかねえんだ!?」
「それはね……この世界と彼らの世界の物理法則が違うからだよ」

焦るわたし達の耳に、涼やかな声が聞こえてきて、あ、と思った。
この声には聞き覚えがある。
落ち着いた低い声は、わたしがここに来て一番に聞いた声で、ずっと聞きたいって思っていた声だ。

「……こ、」
「やあ、ようやく会えたね。ミオさん……それとルカ・ミルダくん」

振り返れば、そこではやっぱり、コンウェイさんが笑っていた。