14-2

「……あれ? この部屋は?」

基地の中を歩いていると、ふと、中途半端に開いている扉に気付いて首を傾げる。
ぼんやりと光っているみたいだ、と思って近くにいたイリアを引っ張ると、調べてみましょ、とみんなで中に入った。
階段状になった部屋の中には、ズラリと筒のようなものが並んでいる。敷き詰められたそれは淡く光っており、中にある液体の中に何かがあるのが見えて、なんだかアニメとかで見る秘密の実験施設の試験管みたいだな、とぼんやりと思った。
アニメの中では、この筒のような大きな試験管の中には実験動物とかが入っているんだよな、と思ってその中身を確認して……ひっと、声を漏らした。

ゆらゆらと、培養液か何かが詰まったその筒の中に浮かんでいるのは、人間、だった。

「っ!」
「人が閉じ込められて……これは、一体……?」
「もしかして、この人達転生者じゃないの? どうしてこんなことを……」

呟いたイリアの顔を見れば、どことなく青ざめている。
……当然だ。だって、これが捕まった転生者なら、中にいるのは自分だったかもしれないのだから。

「そういえば、転生者研究所で、兵器の動力源に転生者を使うって言ってなかった?」
「動力源……?」

確かに、あのオズバルトとかいう男がそんなことを言っていたような気がする。
こいつらは使える、動力源では勿体無い……そんな感じの言葉だった。

「こんなものに閉じ込めやがって……フザケんなよ! 転生者だからってなにをしてもいいってわけじゃねぇだろう!」
「転生者には、捕まって兵士にされるか、こんな風に閉じ込められるしか道はないのかな……」

憤るスパーダと、がっくりとうなだれるルカ。わたしも、自分の表情が青ざめているのがわかった。
だって、みんながいなかったら、たぶん、いや確実にわたしはこの中にいただろう。何もできず、理不尽につかまって、無理やり動力にされて……その後、どうなってしまっていただろう。
何を言えばいいのか黙り込んでしまっていると、ぽつりとコンウェイさんが何か呟いた。

「……ここには、まだボクの知らないことがたくさんあるみたいだね」
「ねえ、何か言った?」
「いや、何でもないよ。それより聖女とやらを探すんだろ? 早く行こう。……ほら、ミオさん」
「あ、う、うん……」

手を引かれて、聖女を探しに奥に進む。
聖女もこんな筒の中にいるのかな。それはすごく……苦しいな。