18-3

今日のところは休もう、とそれぞれが休もうと席を立とうとしたところで、リカルドさんに呼び止められた。
さっき何も聞いてなかったの怒られるのかな、と思ったけれど、どうやら違うらしい。

「ミオ、ミルダたちについて少し聞きたいのだが……」
「わたしも先に質問いいですか? なんでわたしは名前呼びなんです?」
「は?」

不思議そうな顔をされたけれど、不思議なのはこっちも同じである。

「フルネームか今みたいにミルダって呼ぶのに、わたしだけどうして? って」
「……お前は浅神・深魚だろう?」
「そうです。……あー、でもちょっと生まれが辺境の地なので文化が違うんですよ。みんなに合わせて言うと深魚・浅神です」

気になっちゃったから聞いたけど、もしかして、わたしの名前が浅神と思ってるのかな。だからわたしだけ名前呼びになっちゃったのかな。
異文化だもんね、と思ってそっと訂正すれば、リカルドさんはしばらく無言でわたしを見つめて、小さく咳払いをした。

「ミオ。お前から見てルカたちはどう思う」
「あ、やっぱり勘違いだったのか」
「アンジュの護衛のために、正確な情報が必要だからな」

どうやら今わたしの名前を勘違いしていた話題はなかったことにするらしい。
隣でコンウェイさんが笑いを堪えているのが視界の端っこに見えたけれど、まあ突っ込むのはやめておこう。
それで、ルカたちのこと、か。どう思うと言われても、みんな頼れる! 好き! って感じなんだけど。

「はあ……えっと、ワイワイガヤガヤって感じですね。でもオフ会みたいでちょっと慣れてないかも」
「……? すまない、もう少しわかりやすく話してくれ」
「あーつまり、仲良しだけど、ちょっと遠慮がちというか、まだいろいろつかみかねているところって感じかも」
「なるほどな……特にルカとお前とコンウェイが距離を置いていると言うことか」
「え?」
「一歩引いた意見を聞けたという意味では助かった」

それでは、と用意された部屋に向かうリカルドさんの背中を視線で追いかけて、わたしは首を傾げる。
……わたしって、距離置いてるのかな。コンウェイさんにその感想を抱くならわかるけど。

「……コンウェイさんって」
「ん?」

なんでいろんなことを知っていて、みんなの行方を気にするのに。ある程度の距離からは近付こうとしないで、深く知ろうとしないんだろう。
どうしてと隣にいた彼に視線で訴えてみるけれど、涼しい顔で笑うだけだった。