「初めてのおつかい、出来るかな……ライトニング！」
開幕早々に雷を落として、そのまま真っ直ぐに突っ込んでくる。
長い槍はリーチも長い。突っ込まれたスパーダは槍を剣で軌道を逸らして内側に入り込み、至近距離で斬撃を繰り返した。
「なぁーにがおつかいだよ！ 散沙雨！」
「光破刃！ ローバーアイテム……あら？」
「あーらよっと！」
「うわっ」
ゴルフでもするみたいに槍を振り上げてルカを突き飛ばす。
槍って、突いたり薙ぎ払ったりするものだとは思うけれど、彼の使い方はとても正しい槍の使い方とは思えない。実際、戦う人たちから見ても予想外の動きなのだろう。あちこちから舌打ちが聞こえてきた。
「アクアバレット！ 気を付けなさいルカ！ こいつ動きも気持ち悪いわよ！」
「ハスタキィーック！」
「キックじゃねえよ！」
三連続の突きに思わずスパーダが怒鳴る。
言動もだけど、攻撃パターンまで本当によくわからない。
とにかくルカたちの援護を、と詠唱を始める。
「痛いの痛いのー飛ーんで」
「回復禁止令！」
「け、あっ？」
一気に踏み込んで、わたしのすぐ目の前にハスタがやってきて、ピンクのフリルが視界いっぱいに広がる。
どうしよう、と鞄を構えることも出来ずにいれば、ハスタはふと何かに気付いたように手を止めてわたしの顔を見た。
「むむむ〜ん？ 君って君って〜……お酒飲んじゃう感じ？」
「み、未成年だよ！」
「フィアフルフレア！」
声を裏返してながら答える間に、コンウェイさんが放った炎がハスタに直撃した。
その隙にスパーダがわたしの腕を掴んで、突き飛ばすように後ろに下がらせてくれる。とてつもなく助かった。
「おらよ、獣爪斬！」
「はあ！ 虎牙破斬！」
「死んだおばあちゃんが見える！」
「や……やっりにくいなぁ〜……」
思わずルカが困った声をあげたのが聞こえる。
それでも、ちゃんとダメージを与えているのは間違いない。
やがてハスタは膝を着いて、拗ねたような声をあげた。
「てゆっか〜１対７って〜ひどくな〜い？」
「あーもう気持ち悪ーい！」
「勝てばいい……かなあ？」
「ちゃんと会話してもらえるかしら……」
戦隊ヒーローとかに謝れよ。
そう叫びたかったけど、なんとなく勇気が出なくてわたしはコンウェイさんの後ろにそっと隠れた。