21-2

「うおっオレの隠れ家が豪華になってる!」

入り口からスパーダの声がして振り返ると、リカルドさんと……なんだか質のいい服を着た、貴族風の少年が歩いてくるところだった。

「なんや、あんたさんやったんか。ここ、場所作ってくれたん。ありがたく使わせてもろてるで」
「誰だよ、このちっちゃい子は」
「そういうあんたはうすらデカいなあ。うちはエルマーナいうねん」

そう女の子は……エルマーナはにっこりと笑って、それから二人の手を引いてわたしたちを集めると得意げに微笑んだ。

「さっきこのルカ兄ちゃんから話は聞いたで。あんたら、取引せぇへん?」
「取引相手として信用置けんな。だが、一応話は聞こう」
「あんな、ウチら、情報収集はお手のものやねん。必要な情報拾といてあげるわ。その間、あんたはここに隠れとり」
「その代わり?」
「話早いなぁ。鍾乳洞の奥に金目のもんがあるっちゅう話やねん。それ、取って来てもらえへん?」

エルマーナの話によると、この下水道の先には鍾乳洞が存在するらしい。その奥にある長寿の霊薬だとか言われるキノコを採ってきてほしいと言うのだ。
なんでも、かなりお高いのだとか。このお金があればもうちょっとまともな生活が出来るのにとエルマーナが呟くと、まあ放っておきたくなんかないわけで。
特にアンジュさんは積極的に力を込めると、行きましょうと声をあげた。

「やってあげましょう、リカルドさん。みんなもいいよね?」
「ただ働きはごめんなんだがな」
「あら、あなたの雇い主が誰か、どうしたら思い出してもらえるのかしら?」
「やれやれ忘れてたよ……俺の雇い主は見かけに似合わず強情なんたったな……仕方あるまい」

アンジュさんに言われてリカルドさんが頷けば、もう完全に行く流れだ。
キノコ採るだけなら怖くないし、今は街も騒いでいるだろうから丁度いいだろう。

「じゃあ鍾乳洞に行こうか。そんで……ええと、ところで、ずっと気になってたんだけど……」

もにょもにょと言い淀みながら、わたしはリカルドさんの隣にいる少年を見る。
いやまあ、声とかでちゃんとわかるんだけど、なんとなく信じたくなくて、わたしとイリアとルカは顔を見合わせると、その少年に向き直った。

「どちら様……ですか?」
「オレだよ! スパーダだよ!」
「ええ? 何その気品溢れてる感じ!」
「うるせー! くそっ! 仕方ねえだろ服返して貰えなかったんだよ!」

顔を赤くしながら騒ぐ少年……もといスパーダは、いつもの服とは違う、いい生地を使ってそうなシャツと上品そうなジャケットと身に着けているものだから、彼だと理解するのを躊躇ってしまった。
こうして見ると確かに坊ちゃまと呼びたくなるような気がする。ていうかどうして着替えているんだ。

「ダリスというスパーダの友人に会ってな。手伝えない代わりにと着せられたらしい」
「元の服は?」
「返してもらえなかったようだ」
「うわあ……」
「くっそお! もういいだろ!」
「はーい。スパーダ坊ちゃま」
「イリア……てめぇ……」

うーん、現在進行形で追いかけられてたり、これから鍾乳洞頑張るぞって雰囲気だけど、すっごく平和!
でもわたしたちらしくていいかなあと笑って出発することにした。