24-2

「ヴリトラはボクが連れて行く!」

そう叫ぶやいなや、とびかかるように大きく跳躍して襲いかかってくる。
反射的にバリアーを唱えながらエルマーナをこちらに呼び寄せれば、すぐにルカたちが飛び出した。

「アイスニードル!」
「真空破斬! 瞬迅衝!」

ルカ自身も大剣になったかのように突っ込んでいけば、体格の差もあってシアンはすぐに吹っ飛ぶ。
だが、敵はシアンだけではない。ケル、ベロと呼ばれたあの二匹の犬が飛び出してきて、まるでシアンを傷付けるのは許さないとばかりに噛みついてきた。

「ルカ、平気か! 豪雷衝! 食らいなぁ!」
「ったく、ちょこまかと……っツインバレット!」
「光よ……フォトン!」

下手したらシアンよりずっと強いんじゃないかってレベルの犬に、アンジュさんはものすごく動きづらそうだ。
犬も、そんなアンジュさんのことがわかるのだろう。たまにわざと吠えて彼女の詠唱を邪魔するから困る。頭がいいな。

「シャドウエッジ!」
「ピクシーサークル!」
「崩襲剣!」
「フリップショット! まずは一匹!」

それでも、ちゃんと囲んで一匹ずつ対処すればそう怖くはない。
ケルとベロのどちらかはわからないが、片方の犬が倒れたのを見て、わたしも援護に力を込めた。

「宿れ、快方の光!」
「ヒールオブアース!」
「あとは一人、かな」

ずっとスパーダと対峙していたシアンも、気付けば動けるのが自分一人だけになったことに気付いたらしい。
一瞬だけ泣きそうになって、それからギラリと目の前のスパーダを睨みつけた。

「こんのぉ……っ!!」
「無理やり連れて行こうとするなんて良くないよっ」
「一緒に行きたくないって聞こえなかったの?」
「うるさあいっ!」

体全体で飛び上がって襲いかかる。
素早いが単調な動きだ。遠くから見てもわかるそれに、直接対峙するルカとスパーダがわからないはずがない。
動きを読んで叩き付けられる攻撃に長く耐えられるほど、彼はまだ強くなかった。

「こんなはずじゃ……」