「あれ、ミオ姉ちゃんどしたん? なんや泣きそうな顔して」
まだまだ女の子としてはこれからに期待だし、とか、コンウェイさんはすごい綺麗だけど男の人だからそういうこと気にするのは当然だよね、わたしだって可愛い女の子とか綺麗な女の人とかセクシーなやつとかすっごい気になるし。
そもそもわたしが気にする権利とかないし、と脳内でいろいろと言い訳を並べていると、スパーダから解放されたらしいエルマーナがこちらに近付いてきた。
後ろを見ると、まだメイド服のままアンジュさんに呆れた顔をされているスパーダと、それを楽しそうにからかっているイリアの姿がある。
いつまで経っても出発できそうにない状態に苦笑しつつ。さて、なんでもないよ、と答える前に、今のうちに聞いてしまおうと再びエルマーナに向き直った。
何せ彼女は、アンジュさんのメイド服とはまた違う、白いレースもたくさん付けた、俗に言うゴスロリみたいな服を着ているのだ。いったいいつのまに。どこから持ってきたんだその服。
「エルマーナこそ、その格好どうしたの?」
「ん、これ?さっきデザイナーっちゅう姉ちゃんに貰ってん。どお? 似合うとる?」
「可愛い! いつもと雰囲気変わっていい感じ!」
「ホンマ? 嬉しい!」
くるんとその場で回ってみせたエルマーナは本当に可愛い。わたしの前世からの友が超かわいい。うんうん、他にもいろいろ言いたいことがあったけれど、とりあえず褒めるのが先だよね! 楽しいことはいつだって最優先だ。
ベリーショートにしても可愛いって思うんだから、彼女はもともと美人さんなんだよね。
服とかを変えるだけで格段に可愛くなる。こっちに来てからはそういう話題すらなかったから、なんだか楽しいな。
「でも、あまり見知らぬ人からものを貰ってはいけないよ」
「そこは大目に見たってやぁ」
ぎゅーっと抱き合っていたところで、コンウェイさんがそう言いながら近付いてくる。
それはそうだ。今回は良い人だったみたいだけど、基本的にいきなり服をプレゼントしてくるような人、怪しいに決まってる。
だからちゃんと警戒しないとダメだよ、と諭すコンウェイさんに、けれどもらえるものはもらいたいし、なんだったらあんたにも似合うかもなあ、と返すのだからエルマーナは度胸がある。彼の頬がひくりと引き攣ったのを確認して、わたしはじっと彼を見た。
「コンウェイさんは黒に白いフリルが映えて好きなタイプですか」
「どうしてそんな話題になったの」
いや、本当は「そうは言ってもこの服可愛いでしょう」と言いたかったんだけど、出てきた言葉が全然違うものだった。
メイド服にゴスロリとお着替えが続いているからかもしれない。さっき、いろいろ考えたからかもしれない。まあでも、出てきてしまった言葉は仕方ないので、わたしは開き直ることにした。
「大丈夫です。たとえコンウェイさんがゴスロリやクラシックやおっぱいに興味がある人だったとしても、わたしのこの尊敬の気持ちは変わりません。好きです」
「待って。本当にどこからそんな誤解が生まれたんだい?」
「まあまあ。男の人って、みんなそういうのが好きなんやろ? そう慌てんでもいいって」
「いいや。さすがにこの誤解を放っておくのは抵抗があるよ」
真剣な様子でそうではない、と話し始めたコンウェイさんに、まあ、そういうことにしておくことにした。
なんだろう。この、複雑な気持ち。もしかして結構、この人に夢を見ているのかもしれない。まあ、わたしまだまだ花の乙女だもんね、夢くらい見るよ、と。とりあえず今は、胸の内でこっそりと納得しておくことにした。