次に壁画があった場所は、王廟のだいぶ深まった場所だった。
一枚だけ飾られた壁画には、真ん中に兜のようなものを被った人が描かれている。その頭上に輝く目玉のようなものからは光が放たれていたが、ぐねぐねとした模様のせいか禍々しい印象を受ける。
まるで世界が崩れたかのような、混沌に落ちてしまったかのような、不吉な印象。
「……ああっ!」
「どうしたん、ルカ兄ちゃん。急に大きな声を出して」
一度大声を上げて、ルカはぼーっと壁画を見つめる。
エルがどれだけ話し掛けたところで反応もなく、ただただ食い入るように壁画に見入っている。
「ルカ? 具合悪い?」
「あ、ううん。違うよ、大丈夫……」
さすがに心配になって肩をつかむと、ルカはようやく意識を戻したようで、戸惑うように視線を泳がせた。
何か思い出したのだろうか。よくわからないけれど、混乱しているみたいだし、落ち着いてから聞くことにしよう。
「あ! あったあった記憶の場よ!」
とりあえず探索の続きを、と思っていると、イリアが大きな声を出す。その声にひかれるまま進めば、鍾乳洞のときと同じ光が地面にたゆたっていた。
イリアは何故か険しい表情でそれを睨み付けていて、傍らにいたアンジュさんが不思議そうに首を傾げる。
「どうしたの、イリア」
「……あたし、何か思い出しそう。思い出しちゃいけない、何かを……」
イリアが呟いた瞬間、すっと辺りを光が覆った。