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「今度の息子は、剣の姿か」

そう話しかければ、彼は手を休めることなく返事を返す。こちらも邪魔しに来たわけではないから特に何も思わない。ただその背中にやんわりと微笑んで、適当な場所に座り込む。
鍛冶の神は鎚を振り下ろし、ひたすらに息子を鍛えていた。

「ああ、そうだ。すべてを制し、多くのものを活かす剣だ」
「多くのものを活かす剣、とな」
「ああ。ゲイボルグには世のすべてを貫くようにと願い……間違えた強さを追い求めさせてしまったからな。今度は、本当の強さを追い求めさせてやりたいんだ」

ゲイボルグ。
以前に名前を提案した槍は、彼が願った通りに力をつけ、ひたすらに強さを追い求めていくがゆえに……やがて、その身を狂気に染めていった。
人のために武器が扱われるのではなく、武器のために人が扱われるようになった。彼はすべてを貫いた。すべての肉を貫いた。すべての血を啜った。

それは、己が求め、願った強さの姿ではないと、友は言った。
誤った強さを求めた愚か者の後悔の作だと、友は嘆いた。
だからこそ、本当の強さを。すべてを貫き殺すだけではない強さをと願い、再び槌を振り下ろす。

「せっかく名付けてもらったのに、すまねえな」
「良い良い。それにしても、今度は本当の強さとは、また難しいものを息子に求めるのう」
「はっはっはっ! 違いない。そんなもの、誰にもわかりはしないからな。だが、今思い描く強さとは制すること。そんな剣にしてやりたいのだ」

そう、鍛冶の神は微笑んで、まだ魂を宿していない息子を、そのゴツゴツとした手で優しく撫であげる。
だから、思わず我も笑ってしまった。祝福したいと願った。
あの名前を贈った息子も、今生まれようとしている息子も。皆、友人の大事な子供たちだから。

「よい使い手に巡り会えるといいな。バルカンの新しい息子よ」