「どうしてハスタはこんなところに居座ってるのかな」
「さあな。ハスタにでも聞いてみろよ」
「あ〜暑い熱いあついアツイA・TS・UI!!」
火山の中、とんでもない。
なんとなーくマグマとかのイメージあるよね! と思いながら中に入れば、マグマどこの話じゃない。暑い。とにかく熱い。そこに存在しているだけで肌がじりじりと焼かれそうな熱気に、呼吸するのも嫌になってくる。
本当にこの中を行かないといけないのか、と自然と足を重くしながらもなんとか進んできたところで、急にアンジュさんが騒ぎ出した。彼女も限界なのだろう。バサバサとスカートをばさつかせて、キッとリカルドさんを睨み付ける。
「もう! リカルドさん! 私は依頼人なんですよ!? なんとかしてください!」
「俺も努力はしているのだが……」
「あー……もーアンジュさんうるさい……あつい……リカルドさん! 暑い!」
「何故お前まで俺に言うんだ」
「その黒いコート! 暑苦しい!」
そもそもなんでこんな火山できっちりと着込んでいるんだ。いやわかるよ。わたしもいっそ服を脱ぎたいけど、服がないと直線熱を感じるから痛いなって、さっき腕まくりして思ったもん。
でもさあ、黒はないじゃん。すっごい熱吸収しそうじゃん。見ているだけでも暑い。
「にしても、あっづ〜。スパーダも大人しいけど、暑さでやられたの? ちょっとルカ聞いてきなさいよ」
「もう聞いたよ……でも、体調が悪い訳じゃないってさ」
「じゃあ、腹減ったんかな」
「コーダは腹減ったぞ、しかし」
イリアとエルが、そう言いながらちらりとスパーダを見るから、わたしも釣られてそっちを見る。
そこにいるスパーダは、確かに少し顔をしかめながら黙り込んで立っていた。暑さに参って……とかではなく、何かを考え込むような様子だ。
「そうだ……オレは亡命したイナンナに抱かれて……ラティオからセンサスへ……」
「スパーダ?」
「あ、いや、なんでもない」
ぼそぼそと呟く彼に話しかけるが、すぐになんでもないと先を歩き出してしまった。
ノリの良い彼らしくない様子は確かにおかしい。でも、確かここが信仰するバルカンは、記憶が正しければデュランダル……スパーダの前世の生みの親だ。何か思い出しているのかもしれない。
「ね? ぼーっとしてるでしょ? 嫌な記憶でも思い出してるのかな。心配だね……」
「心配だけど、あんまり騒いでる場合じゃ無さそうだよ」
心配して言い寄ってきたルカに、だが、コンウェイさんの固い声がしてわたしたちは立ち止まった。