ザッとわたし達を包囲した兵士達の輪は突破出来そうにない。
向けられた銃口も、当然だけれどわたしたちが反撃するより先に放たれるだろう。
「お前達、フェンデル人ではないな?」
「……くっ……」
「待て。ここはオレに任せろ」
仕方ないかと武器を構えようとしたヒューバートさんをそっと抑えて、マリクさんが早口にそう言った。
その後すぐに、マリクさんは堂々とした様子で兵士の前に立つ。
「オレ達はウィンドルの任務に出ていて今帰ってきたところだ」
「ウィンドルだと? そんな話が信用できると思うか」
「オレの名はマリク・シザース。これが部隊証だ」
どこかすすけたカード……部隊証らしい、と差し出す。
それを見た兵士は訝しげに写真とマリクさんとを見比べた。
「確かに本物ではあるようだが……」
「これでわかっただろう。さて、これからオレ達は総統閣下の下へ報告にあがらなければならん」
「そ、総統閣下ですって!?」
サッと変わった顔色に、ここでは総統閣下が一番偉いんだっけと、来る途中に聞いた話を思い出す。今が詰めだと、彼はたたみかけるように言葉を紡いだ。
「これ以上オレ達を足止めするなら、貴殿らのことを閣下に報告せざるを得なくなるが」
「そ、それだけはなにとぞ……おい撤収だ! 戻るぞ!」
走り去って行く兵士達を確認して、マリクさんはふーっと息を吐いた。
どこか安心したような様子でこちらに戻ってくる。
「……はったりで言ってみたのだが信じてもらえたようだ」
「部隊証まで用意していたとは思いませんでした。どうやって手に入れたんですか?」
「こういう事もあろうかと以前から準備してあった。それだけの話だ」
「準備、ね……」
「いつ本当の事がバレて彼らが戻ってくるとも限らん。手分けして、調査を急いだ方がいいだろう」