政府塔に入るのに通行証が必要だということで、帝都にいたアンマルチア族のフェルマーさんからそれを借りて、マリクさんの機転と一緒に中に入る事に成功した。
見た目は頑丈そうな政府塔だが、中は予想外にボロボロで、少し壊れた機械を使ってカーツさんの部屋に向かったが、どうやら不在らしい。
それにどこか安心したようなマリクさんを見て、手分けして部屋の中に大輝石の場所を記した資料が無いかと探す……が、わたしは隅の棚の上にある写真を見て、作業を止める。
そこには、若いマリクさんとカッコイい男性、そして美人な女性の三人が、揃ってフェンデルの軍服を身に纏って写っていた。
「お、美人……」
優しげなのに意志の強そうな瞳をした女性はもちろん、端正な顔をした男の人も、まだ若いマリクさんもみんな素敵だ。きっとこの男の人がカーツさんなんだろう。
この女性は先程までの話題に出なかった人だと考えていれば、マリクさんが近寄ってきた。同様に写真を見て、少し懐かしそうに目を細める。
「若い頃のオレとカーツ、そして彼女はロベリアという。彼女も改革運動の仲間だった……もう、死んでしまったがな」
「死ん……」
どくん、と、心臓が嫌な鼓動の鳴り方をした気がした。
そうか、彼女は死んでしまったのか……
「彼女が命がけで手に入れたとある機密文書のおかげで、改革運動は再び勢いを取り戻した。だが、オレの心はそれをキッカケに大きく運動から離れて行ってな。そのままやがて下火になっていった運動を見て思った。ロベリアの意志を汲み、彼女やカーツと共に改革を成していたら……彼女を失う事もなかったのではないかとな」
「マリクさん……」
思わず名前を呼ぶ。
マリクさんは、どこか遠くを……出会った当初、アスベルやシェリアがよくしていた、あの過去を悔やむ目をしている。
どう言葉をかけるべきか、むしろかけるべきではないのだろうか、悩んでいれば、今度はアスベルが近付いてきた。
彼も、わたし達が見ている写真を覗き込む。
「教官、その写真……」
「ああ、昔のオレだ」
「教官……教官の昔に何があったか俺にはわかりません。けど……教官がウィンドルに来た事は間違いじゃありません。……俺は、教官に出会えてよかったです」
「……お前は迷いの中にいる時も、常にまっすぐな奴だったな」
少し驚いたマリクさんの言葉に、アスベルは照れたように頭を掻いた。
相変わらず理想な教官と生徒の関係の二人に、わたしは……
わたしはどこか、焦りに似たようなものを感じた。