「うわっさむっ!」
大輝石があるという氷山洞穴は、流氷の中だけあって物凄く寒い。
肌を刺すような寒さに思わず体が震える。
氷だけ見れば綺麗なのに……と思っても、触ると手が貼り付きそうだし、足下も滑って危ないので極力周りを観察しないようにする。
「ソフィ、シオリ、気を付けてね、ここ滑るから」
「わかった」
「ううおっ!?」
「わっシオリ!?」
シェリアに言われた次の瞬間に、ずべーっと勢い良く滑り落ちる。
運よく前にいたアスベルの背中にぶつかることで止まることができたけれど、顔が勢いよく背中にぶつかったので鼻が痛い。
わたしが痛いのだから、そのままの勢いでぶつかったアスベルもそれなりに衝撃があったのだろう。転びそうになるのを見て、慌てて謝る。
「あいで……ごめんアスベル、大丈夫?」
「あ、ああ、だ、大丈夫だ!」
心なしか顔が赤いアスベルに、打ち所悪かったかしら……と思いつつ立ち上がる。
それともわたし重かったかな……とかなんとか考えてれば、後ろからシェリアが小走りでやってきた。
わたしに怪我が無いのを確認して、安心したように息をつく。
「もう、シオリはすぐこれなんだから……ほら、手出して。繋いでれば少しは大丈夫でしょう?」
「あはは……ごめんシェリア。ってうわっシェリア冷たい! 大丈夫なのこれ?」
びっくりするほど冷たいシェリアの手に、思わず近くのアスベルの手を握る。
うん、アスベルの手はまだ暖かい。
パッと離したら小さく声がしたけど、わたしはそれよりもシェリアの手を再度握り締めた。
「だ、大丈夫よ。それにシオリだって冷たいわ」
「冷たいわたしより冷たく感じるんだから大丈夫じゃないよ……これで少しはマシに……シェリア?」
はあ、と息をかけて手をさすっていると、何故かシェリアの顔が赤くなってるのがわかった。
アスベルといいシェリアといいどうしたのだろうか。
思わず心配そうに見つめると、シェリアは更に顔を赤くした。
「えっ? あ、なんでもないわ! も、もう大丈夫だから、手を……」
「え、繋いでてくれるんじゃないの?」
「あ、ああ、そうよね、繋いだのは私なのよね、うん……なんでもないわ、急ぎましょう。早くしないと、フェンデルとウィンドルの争いになるかもしれないし」
「……? わかった」
気にはなったが、確かに今は急ぐべき時なので、余計なことは考えない事にした。