125.信じ、きらないで

ストラタへ向かう為に港で待っていたみんなと合流し、わたし達は船に乗り込んだ。
本当はソフィは置いていくつもりだったのだが、彼女自身の強い意志によりソフィも連れて行く事になった。安静にしてても治らないのなら、みんなと一緒にいたい。そう言った彼女にまた涙が出そうだった。
ソフィの事はシェリアに任せて船内をうろつく。あんまりソフィの傍にはいたくなかった……怖かったのだ。
アスベルはわたしはわたしだと言ってくれたし、彼女も気にしていないようだったけど……それでも不安だった。
その代わり、色々と話し合っているらしいパスカルとマリクさんを見ていたヒューバートくんに近付く。目に見えて気まずそうに目をそらした彼に苦笑しながら、わたしは彼の名前を呼ぶ。

「あの、ヒューバートくん」
「っなんですか」
「さっきはごめんね」

ぺこりと頭を下げると、ヒューバートくんはきょとんと目を瞬かせた。
わたしはとりあえず、理由は後回しにしてそのまま謝罪だけを述べる。

「あれじゃあただの八つ当たりだよね、ごめん……」
「な、何故あなたが謝るのですか! あれはあなたの事をちゃんと考えなかったぼくの失態です。あなたが謝る必要はどこにもありません」

慌ててわたしの頭を上げさせて、ヒューバートくんはコホンと咳払いをする。
……十七歳なのに、本当にしっかりしてるなぁ。ひとしきり慌てた後、いつものように眼鏡を押し上げて彼も頭を下げた。

「ですから、その……すみませんでした」

素直に謝れるところが偉いなぁと思わず頭を撫でたくなるのをこらえて、わたしは次に言いたかった事を話す。
これはとても大事な事だ。
きっと、とても。

「……ねぇヒューバートくん。ヒューバートくんはまだ、わたしを怪しいと警戒してる?」
「……全くしていない、とは言えません。先日の行動について、答えが出ていない以上、警戒しない方が難しい。あなたには不快だとわかっていますから、これはぼくの性分ですから。でも……あなたを“姉さん”と呼んでも抵抗がなくなる位には、あなたを信じているつもりです」
「そっか……」

なんだか嬉しくなって、わたしは大きく深呼吸をした。
……みんな優しい。素敵な人達。大事だと思うから。
だからと頼んだ言葉に、ヒューバートくんは目を見開きながらもなんとか頷いてくれた。

「ならヒューバートくん、まだわたしを疑っていて。わたし自身わかんない事があるからなんとも言えないけど……またああいう事があった時のために、誰か一人位は疑ってくれてた方が安心だから」

わたしのこと、信じないで。