136.雪の遺跡、帰る場所

ベラニックまではかめにんの亀車に乗せてもらい、そこから歩いて未踏の雪道と呼ばれる場所を進んで行く。
ソフィの両肩を支えながら歩くが、雪のせいで余計に体力が奪われているらしくその足取りは覚束無い。
ある程度進んだ辺りで、ソフィはついにガクリと膝から倒れ込んだ。

「ソフィ!」
「ソフィ大丈夫!?」
「ソフィ、しっかりしろ! ……凄い熱だ」
「大変! ソフィ、これ以上は無茶だわ。引き返しましょう」
「そうだよソフィ、このままじゃフォドラに行く前に……」
「大丈夫……大丈夫だよ……」

額に手を当てたアスベルの言葉にシェリアとわたしはそう進言するが、ソフィはゆるゆると力無く首を振る。
額に当ててあるアスベルの手にほわりと笑みを浮かべるが、やはりどう見ても体調は悪化しているように見える。

「冷たくて気持ち良い……ごめんねアスベル……わたし……フォドラに行かないと治らないんでしょう……それは……わたしが……みんなと違う……からだよね……?」
「違わない! お前は俺達と何も変わらないさ」

ポツリポツリと呟くソフィに、思わず強い口調で言う。
何も違わない、違わないと。

「そうよソフィ!」
「これ以上……みんなに迷惑かけたくない……」
「何言ってるんですソフィ!」
「気をしっかり持つんだ」
「諦めない、諦めないから、ソフィ!」

だんだん悲鳴じみていくみんなの声に、だがソフィはもう、誰とも目を合わせられないままで。

「わたし……もう……みんなの顔も……何も……みえな……」

ガクリと、気を失った。

「ソフィ!」
「早く装置を動かせるようにして、ソフィをフォドラに連れて行かないと!」

パスカルの言葉に急かされながらアスベルの背にソフィをおぶらせて、再び雪道を歩く。
すぐにでも消えてしまいそうなソフィに、皆一様に唇を噛み締めた。