胸がドキドキした。
装置の前に立ちふさがっていた障害物をどかして、海辺の洞窟で操作が出来るように装置を動かしてから、わたし達は再び出口に向かっていた。
出口に近付く旅にまた胸がドキドキしてきて、わたしは込み上げてくる愛しさと反対に嫌な予感を募らせる。
この感じは、前にラントで味わったのと同じものだ。だが確信のない予感程度でみんなを振り回したくなくて黙っていると、出口に出てソフィが身じろぎした。
「う……」
「ソフィ!?」
「何か近付いてくるぞ!」
「敵か!?」
空から降りてきたのは、間違いなくラントを襲ったあの魔物だった。
予感は外れていなかったと思いながら武器を構える。
「やぁっ煌華星葬刃!」
「神雷召!」
思いっきり剣を横に振って、地面に横たわらせたソフィの近くに敵がこないように威嚇する。
近付いてきた奴はシェリアが牽制して、アスベル達の方に行くように仕向けた。
「調子に乗るな!」
「まったく、邪魔をして……!」
抜刀したアスベルをサポートするようにヒューバートくんの双銃の弾が舞い、パスカル達が輝術で攻撃する。
……しかし、アスベル達ほどのダメージを与えられない。与える事が出来ない。
それを見たヒューバートくんは、双銃を一度合体させるとそれを弓のような形に変形させた。
「覚悟を決めろ! 僕を怒らせたこと……後悔するんだな! ヴァンフレージュ!」
光の矢が伸びて、魔物の体を貫く。
あれって何にでもなるんだなぁと少し感心して、わたしはソフィの様子を伺うシェリアに向き直った。
「シェリア、ソフィは?」
「まだ眠ってるみたい。シオリは大丈夫なの? さっきから黙り込んでたみたいだけど」
「大丈夫だよ」
シェリアもアスベルと同じで、鋭くなくていい所が鋭いらしい。
困っちゃうなぁと思いつつ、なんとか平静を装った。
「あの魔物……とうとうこんな所までやってきたようですね」
「ソフィはあの魔物が接近していることを俺達に教えてくれたのかもな……」
アスベルとヒューバートくんの会話に、ふと、ソフィもわたしと同じなのかもしれないと思った。
少し方向性は違うみたいだけど、わたしもソフィもあの魔物に対して敏感なようである。
……フォドラに行けば、ソフィは治る。ソフィの事がわかる。
フォドラには、わたしが求める答えもあるのだろうか。
忘れている事を、思い出せるのだろうか。
「状況が刻一刻と切迫しているのは確かなようだ。急いで海辺の洞窟に戻った方がいいだろう」