「翠力の天帝、切り裂いてゴーッ!」
パスカルの杖銃とグリムシルフィが魔物を切り裂いて、魔物はどうと倒れ伏した。粒子体で作られているだけのそれは簡単に霧散しそこから姿を消す。
ふぅと息をつけば、後ろから微かに呻き声が聞こえた。見れば、ソフィがゆっくりと目を開けてこちらを見ようとしているところだった。
「アスベル……」
「ソフィ!」
「目を覚ましたのか」
「やった……!」
それぞれ顔を綻ばせれば、ソフィはゆっくりと体を起こす。
そしてはっきりとした言葉で、はっきりとわたし達を見た。
たったそれだけで、無性に嬉しさが込み上げてくる。
「みんな……」
「ソフィ、あたし達の事見える?」
「体の具合はどう? どこか変に感じるところはない?」
「平気……だと思う」
「なら良かった……じゃあ治ったって事なんだよね? 良かった……本当に良かった……」
「みんなありがとう。わたしを治してくれて」
思わずぎゅっとソフィを抱き締める。抱き締めた体はちゃんと暖かい。あんな、消えてしまうんじゃないかと思ってしまうような嫌な感じもしない。
良かった、良かった、嬉しい、良かった。
そんな思いをぐるぐると頭の中で巡らせていれば、一人やけに冷静な態度でエメロードさんが近付いてきた。
「プロトス1……ラムダ根絶に失敗したのですね」
「……わたしがやらないと……いけなかった事って……う……うぅ……わからない、わからない……」
エメロードさんの言葉に、ソフィは頭を抱えて膝から落ちるようにしゃがんだ。
抱き締めていたわたしも同時に床に座れば、彼女はいやいやと頭を振る。何かを拒絶するようなそれに、エメロードさんはふむと顎に指をあてた。
「再構成に必要な粒子体の補填は、うまくいったはずなのに……」
「何か問題でもあるんですか?」
「生命維持機能は問題なく回復したようです。ですが、情報統合に若干の問題が見られます。最終調整の為に、先程の研究室へ行っても構いませんか?」