160.怪我が、治ること

突然の「脱げ」宣言に、わたしはもちろんみんなも……いや、パスカルとソフィとマリクさんは除くけど……驚いて大声をあげた。
しかし全く気にならないとエメロードさんはわたしに近づき、服に手をかけてくる。

「ちょちょちょっちょっと待ってくださいエメロードさん!? わたしは脱がされるより脱がす派……ってボタン外さないでー!」

本当に躊躇なく服を脱がすエメロードさんから助けてとみんなを見るが、マリクさんは多少申し訳無さそうだがパスカルと楽しそうに見ている。
ヒューバートくんに至っては固まってしまっている。
使えないな! と首を傾げているソフィに助けを求めようとして、シェリアが我に返ってこちらに手を伸ばすのが見えた。
ああ良かった、まじ助けて……と言おうとした辺りで、グイとシェリアとは反対側に体を引かれた。
胸辺りまでボタンを外していたエメロードさんの手が離れたのに息をついて見れば、若干顔を赤らめたアスベルがすぐ傍に見える。つまりアスベルが助けてくれたらしい。

「いきなりシオリに何をするんですか」
「そっそーですよ! まだ嫁入り前なのに!」
「……ああ、すみません。ですが確認は出来ました。先程あなたが負っただろう傷。全て綺麗に無くなっていますね」

それが確認したいだけなら口で言えよ……とエメロードさんを睨む。
しかし彼女は何の悪びれも無しに自分の考えをスラスラと言葉を並べて行く。

「それは生まれつきですか?」
「いえ、そういうわけじゃないっすけど……」
「ではその前後、何か怪我など負いましたか?」
「怪我……?」

何か引っ掛かる物を感じた。
怪我。そんな怪我なんてしたかな?
パスカルと出会った時の怪我? でも、それは何か違うような、気が、して……

「それと警備システムに何の関係があるのですか?」
「率直に言います。あなたの中にはラムダがいるかもしれません」