166.星は、まだ

ずびび、鼻水が垂れるけれど、今は啜る事しかできない。
両手はアスベルとソフィと手を繋いでいるから、それをわざわざほどいて鼻をかむことが出来ないのだ。
結局あの後ボロボロとみっともなく泣いたわたしはさんざん泣くだけ泣いて落ち着いた後、何故かわからないけれどアスベルとソフィの手を取ってテロスアステュへ帰る事になった。
二人とも前衛なのに、とか、年下に甘えっぱなしだ、とか少し反省していれば、手を繋ぐソフィの力が少しだけ強くなる。

「シオリ、まだ辛いの?」
「あ、ううん、もう大丈夫だよ。ただこう自分の不甲斐なさに反省をね……」
「わたし、嬉しかったよ」
「え?」

急に話が変わった? と首を傾げると、ソフィは自分の胸に手を当てて、少しだけ誇らしそうに話し出した。

「シオリが泣くと胸がきゅうって苦しくなったけど、でも嬉しかった」
「つまりソフィは、シオリが俺達に弱い所を見せてくれて嬉しかったんだよな」
「うん。でもそれはわたしだけじゃなくて、みんなもそうだよ。だって、さっきシェリアがヒューバートと」
「そ、ソフィ! それは言わなくてもいいのよ」

慌ててソフィの口を塞ぐシェリアに、なんだか前もそんな話を聞いた気がすると首を傾げる。
前も言われた。もっと甘えていいとかそんな事を。
ぽす、と頭に手が乗せられる。見なくてもわかる。アスベルだ。

「前に言っただろ。もっと頼ってくれていいんだって」
「あー……そっか、アスベルに言われたのと同じような事言われてたのか。ええ、と、あ、あの時はどうもすみませんでした……」
「? なんで謝るんだ?」
「いや、なんか今更恥ずかしくなって……」

思えば酔っていたとはいえ「わたしを抱き締めて」的な事をよく言えたなわたし。
今更恥ずかしくなっていれば、アスベルも少しだけ頬を染めてそっぽを向く。
でも、きちんと繋がれたままの手にどうしてもにやけてしまうのは仕方ないのだと言い訳。そしてやっぱり、みんなが嫌いだなんて嘘だよと、弁解。