下に向かう程、ソフィが纏う空気が緊張していくのがわかる。
きっとラムダが近いのだろう。わたしもドキドキと高鳴る心臓を押さえて一歩一歩を歩いていく。
大丈夫。大丈夫だ。
今度はきっとみんなを攻撃なんかしない。攻撃はちゃんと自覚してるんだ。ヤバくなったらまた自分をぶっさしてでも止まればいい。
大丈夫。
繰り返し繰り返し、下に降りる毎にそう言い聞かせる。
繰り返し繰り返し、繰り返し。
「シオリ」
ぎゅっと、突然手を握られて驚く。
見れば、それは前の方にいたはずのアスベルだ。
何事、と言葉を告ごうとして、ガシガシと頭を撫でられた。
「わ、なに、」
「いや、シオリがそんなだとみんな落ち着かないからさ」
「そんなだとって……」
「さっきから無理してるだろ」
言い当てられて、このメンバーにはかなわないなぁと苦笑する。
さっきからみんながチラチラとこちらを伺っていることに全く気付かなかった。
不覚だ。
「……不安だなって、思ってさ。今度はみんなを攻撃なんか絶対しないって思ってるのに、やっぱりちょっと……不安だから」
だから素直にそう言えば、アスベルは撫でる手を止める。
聞き耳を立てているだろうシェリアやヒューバートくんも、どこか表情を曇らせた。
そりゃそうだ。
わたしが一番荒れた時のだし。一番……戸惑ったし。
だから勝手に不安になっただけだよと笑おうとして、アスベルが口を開いた。
「俺は、みんなを守る。だからお前は誰も傷付けないさ」
それは、初めて会った時からずっと繰り返している言葉。
彼の誓い。どこまでも彼らしい答え。それがなんだかたまらなく安心して、わたしはふにゃりと笑顔を浮かべた。
うん、大丈夫だ。
この人がいるなら大丈夫だ。
「……うん。ありがとう。リチャードを絶対助けようね。リチャードだってアスベルやソフィと戦いたくなんかないだろうし」
「ああ! 絶対にリチャードをラムダから助けよう」
いつかわたしが“わたし”になっても、大丈夫。