173.親友に、手を

「アサルトサイン!」
「囚われぬ法衣を冠す名を宿せ! トリッピング!」

パスカルの陣がアスベル、ソフィ、ヒューバートくんら前衛のみんなを囲み、その攻撃力を上昇させた。
続いてシェリアの術がわたし達の周りを包む。防御力を上げてくれる術だ。薄いそれを纏ったみんなは、リチャードを囲もうと一気に地を駆けた。
ラムダの力を持ったとしても、あくまでリチャード一人だ。囲んでしまえば……

「甘い!」
「うあぁっ!」
「うっひゃあ!?」

リチャードが地に腕を差した途端に、そこから何か衝撃波のような物が放たれる。
それは前衛の三人を吹き飛ばし、更に後ろにいたパスカルまで巻き込んだ。彼はそのまま勢いよく走り出して、詠唱を始めたマリクさんとシェリアの所に一気に距離を詰める。
慌ててそっちに走ってリチャードの前に立ちふさがるが、武器を持っていないはずのリチャードの腕が二本重ねた剣にヒビを入れた。
パキン、と小さく刃こぼれをする剣の片方に自然と顔が引きつる。

「ちょ、つよ……っ!?」
「……ふん、貴様達に邪魔されるわけにはいかないのだ。もうすぐ……もうすぐ……!」
「き……っ!?」

バキンとついに剣が二本とも折れて、リチャードの腕がすぐ目の前まで迫ってくる。
よけられるわけがない。目の前に、目の前に……

ヨケナクタッテイイジャナイ

光景がゆっくりに感じる。
もう、動く気になれない。

……だって、名字漢字#潮流はもう、死んでるんだから。

「シオリ、離れろ! 腐食、其は希望の終焉! サイフォンタングル!」

マリクさんの声にハッと意識を戻す。
慌てて頭を抱えてしゃがみ込みながら転がると、そのすぐ後ろから黒い光が溢れ出した。
リチャードに的中したそれを見て、わたしは泣きそうになりながら折れた剣二本を持って後ろに下がった。

「あ、あああありがとうございますうぅう〜」
「気を抜くな!」

強く相手を見据えて、油断無く構える。
そして彼が地を蹴ると同時に、もう一つ影が動いた。

「……リチャード!」

それは幾度も白い刃を閃かせ、彼を、親友を、攻撃した。

「閃く刃は勝利の証! 白夜殲滅剣!」