「あそこに見えるのが星の核?」
ガルディアシャフトの最下層。星の核。
そこにあるのはだだっ広い空間と、それかひたすらに大きな光だけだ。視界に収まりきらない大きな光は、それだけで足を竦ませる。
そして、その光の中心に浮かび、光から原素を吸収し佇むのはリチャードだ。
あの銀髪に黒い姿は、繭の中で見たのと同じ姿である。
「アスベル……いい加減にしろ。僕達の邪魔をするな!」
「よせリチャード! お前はラムダが何をしようとしているかわかっているのか!」
「当然だ。ラムダの意志は僕の意志。ラムダの希望は僕の希望だ。もうすぐ僕達はこの世界そのものになる。僕達の理想そのものに! こんな汚れた世界……僕達に優しくない世界なんて、作り替えてしまえばいいんだ」
淡々と返ってくる声は、とてもリチャードのものだとは思えない。
だからこそ余計につらそうに、アスベルはリチャードに声を投げかけた。
「お前の言う理想の世界とはどんな所だ? こんな事をして実現するものなのか?」
「……僕達が世界そのものになれば、醜い争いの元凶を地上から消し去る事が出来る。醜い争いの元凶……それは、人間の存在だ。人は己の欲望の為に、際限なく争いを引き起こす。人は存在している事自体が罪であり、間違いなのだ……違うか?」
「人間を滅ぼす事で争いをなくす……? そうしたらお前はどうなるんだ? たった一人になって、それからどうするって言うんだ! そんなやり方で争いの元を絶とうなんて間違ってる……故郷を追われた時、お前は俺に手を差し伸べてくれたな。それが俺にはとても嬉しかった」
嬉しかったと言葉を紡ぐ彼の表情はとても穏やかだ。
それでも、リチャードの表情は決して晴れない。
「リチャード。お前ならこんな事をしなくても、その優しさで争いをなくせる筈だ」
「黙れ!」
リチャードが叫ぶと同時に地響きが起こった。
揺れる地面に、ビリビリと肌に感じる振動と鳥肌は自然と恐怖を煽ってくる。
隣でマリクさんが呟いたのを聞けば、これは吸収した原素の力らしい。今のリチャードの中には、これくらい楽勝に起こせる程の原素が、力が溜まっているという事だ。
「これでわかっただろう? 今の我がいかに圧倒的な存在であるかを。君達には、もう僕達を止める事は出来ない。何故なら……」
にやり、と、リチャードの表情が笑顔に変わる。
でもそれはあの優しい笑顔ではなく、歪んだ……全てを否定するような、笑顔。
「君達は……我の手によって、ここで死ぬのだから!」