「ここが、王都……」
「ああ。ここがウィンドルの王都、バロニアだ」
目の前に広がる街並みは、本当にゲームの中のようだった。
西洋風の煉瓦作りの家、賑やかな街並みを彩る花壇、そして何より、街の一番奥にある城が、わたしがいた場所とは本当に違う場所であることをこれでもかと主張している。
日本で言う商店街であろう場所も、段差を生かした配置になっていて面白い。武具防具が並ぶ店先に、なんだかテンションが上がってくる。
「す……凄い凄い! うわぁ、剣とか売ってる! え、てゆうか二本で百円とか安っ!」
「えん……? ああ、丁度セール中なんだな。前は二百ガルドだったのに」
「ガルド……? へぇー、凄いなぁ。人がたくさんいるのも久しぶりだ」
「久しぶり……? 何か、思い出したのか?」
「あ、あぁ、そこらへんは覚えてるよ。ただ、オーレンに行く前のことを知らないっていうか、バロニアのことも知らないけど……あれ、知らないことがありすぎてわかんなくなってきた」
自分で言っててわけがわからなくなってくる。あれ、いいんだよね。わたし、このあたりのことを知らないのは当然で、そもそもやっぱりここは異世界で……よく考えて、どうして異世界になんてきているんだ。直前、何がどうなって、ここにきてしまったんだっけ。わたし、本当にこの世界のこと、知らないであってるよね?
なんだか本当に混乱して目を回していると、マリクさんが笑いながらわたしの頭を撫でてきた。
「タクティクスはこっちだ。お前は……まだアップルグミジュースかな。一緒にアスベルを祝ってやってくれ」
「え?」
「保護したわけだから、一応教官室にも来て貰わなければいけないしな。一緒でもいいだろう? アスベル」
「もちろんです。というか、夢じゃないんだって証明するためにも、シオリにも祝ってほしい……かな」
少し照れたように言うアスベルさんは可愛らしいけれど、わたしはそれどころではない。申し訳ないけれど、聞き逃せない単語があったのだ、今。
「あ、いや、そっちは別にいいんだ。祝う事に異論はないよ。ただ…………お酒って何歳から飲めるの?」
「二十だよ。シオリはまだ、十五か十六あたりじゃないのか?」
ああ、やっぱり。
返ってきた言葉に、わたしは一気に気分を落とした。
「……………………………………………………………………わたし、二十二歳なんだけど」
そう告げた途端、アスベルさんは目を見開いて、マリクさんにいたってはぽかんと口まで開けている。
誰が見てもわかるほど、猛烈に驚かれている。
「な、なんでそんな驚いた顔してるんですか! これは確かだよちゃんと覚えてるよ!」
「……まぁ、アスベルも童顔だからな。今更驚かないさ」
「スッゴい驚いてましたよね?」
「なら、シオリも飲めるという事でさっそく向かうか」
「そ、そうですね」
何事も無かったように頷いて歩き出す二人。わたしの叫びは総無視だ。
わたしだってもう二十二歳だ。そしてこの年齢だと、若く見られるより年相応に見てもらえる方がうれしいお年頃なのに!
「……なんか、納得いかない」