話を聞くと、どうやら、アスベルさん達はグレルサイドに行きたいらしい。
詳しい理由は話したくなさそうだったので聞いていないけれど、パスカルがソフィと一緒にいたいからともう一度遺跡に入ると言うので、わたしも彼らについていくことにした。
せっかく遺跡を抜けてきたのに、またグレルサイドに戻るというのは、なんだか無駄足だったなあ、という気持ちになってしまうけれど。このタイミングで単独行動はアスベルさんがさせてくれなさそうだし、ここからバロニアまでまっすぐにたどり着けるのか、わたしも心配だったので、一緒に行かないという選択肢はない。
迷子の前科があるわたしが、遺跡の中を案内なんてできるわけもなく。パスカルを先頭にして、再び遺跡の中に入る。
俗に言うワープ、みたいな入り方に、アスベルさんも青年……リチャードというらしい……も驚いた声をあげた。
「なんだ……? 何が起こった?」
「もう遺跡の中だよ」
「僕達は全然動かなかったのに、どうやって別の場所に移動したんだい?」
「別に大した事してないよ。チャカチャカポンッてやっただけ」
「よくわからないんだが……」
「そういうもんって納得しなきゃ、パスカルと会話するのは難しいよ」
さっきまでの遺跡探検でそう学んだ、と言えば、苦笑いを返される。
実際、慣れればパスカルの言いたい事はなんとなーく理解出来るのだが、慣れないうちは全然わからない。本当に言葉そのまま、感覚的に話しているのだとわかれば、詳しいことは置いておいて言いたいことはわかるのだけれど。
……まあ、上手に伝わらなくても本人は気にしていないし、今ももう別の話題に切り替えているので、今はあまり気にしなくてもいい話、なのだろう。
「ね、ね、凄いでしょ! 地面の下にこーんな広い場所があるんだよ、驚きだよね!」
「これが遺跡か……僕達の町の様子とはまるで違うものに見えるね」
「遺跡を作ったのは大昔のアンマルチア族だからね。違ってるのは当然でしょ」
「アンマルチア族……?」
知らない言葉だ、と繰り返せば、アスベルさんも首を傾げているのが見えた。ということは、あまり一般的な言葉ではないということだろう。
そろって首をかしげるわたしたちに、パスカルはわかりやすく教えてくれた。
「アンマルチア族ってのは、こうやって世界各地に残ってる遺跡を作った種族のことね」
つまり、古い種族ってことだろうか。
遺跡を作るのが趣味の種族。なんか妖精みたいで可愛いな。
「もしかしてパスカルさんは考古学者なのかな?」
「ん〜ま〜そんなとこかもね? 参考になった? だったらお礼触らせて〜ね、ね!」
「……触るの、だめ」
「む〜けちんぼめ〜」
わきわき、とエロオヤジさながら手を動かすパスカルに、ソフィちゃんは素早くアスベルさんの後ろに隠れた。パスカルは幻ではない、という事を確かめたいだけらしいが、たぶんその手の動きがよくないのだろう。
うーん、それにしても、可愛い。
パスカルのせいで警戒してるから大人しくするけど、わたしもソフィちゃんに触りたい。
「……早く先に行かないか?」
「はいは〜い」