33.遺跡の、危険

「あった〜! これこれ! これが幻を映す装置だよ」

目的地であるあの少し開けた場所に出て、パスカルが嬉しそうに装置に駆け寄る。
アスベルとリチャードさんと一緒に続こうとして、けれどソフィが足を止めたのを見て、わたしも足を止める。
彼女はわたしと違って本当に全部まるっと記憶を失っているみたいだし、動向を気にしすぎて悪いことはない。何か思い出したのかもしれないし、思い出しはしなくても、何か気になることがあったのかもしれない。だから隣に並んで話しかければ、彼女は耳を澄ませるように目を閉じた。

「どうしたの? ソフィ」
「何かがこっちに近付いてくる。変な足音が……聞こえる」

言われてみれば、確かに、どこかからかガシャンガシャンといった音が聞こえてくるような気がする。
なんかこういうの、ちょっと前にも体験した気がするなあ、なんて思いながら、嫌な予感と共に音の方向へと視線を向ければ、ああほらやっぱり。そこには白い鎧でも着てるんじゃないかと言いたくなるような硬そうな肌をした、トカゲの魔物の姿。

「うわっ何これ!」
「襲ってくる!

魔物が吠えたと同時に全員が武器を構える。
硬そうではあるけれど、相手は見た目通り鈍い動きだ。先手必勝とばかりに、リチャードさんが勢い良く突きを繰り出した。

「秋沙雨!」
「はっ! 潜身脚、裂震虎砲!」

突き出してきた尻尾を避けて、アスベルが勢い良く蹴り上げそのままの勢いで吹き飛ばす。
のけぞった隙に突き抜けるように一気に切り上げる様は、ちょっと今考えるには能天気だけれど、相変わらずかっこいいなと思った。

「抜砕竜斬!」
「交わるは恐怖の荒神……フィアフルストーム!」
「たあっ! 星流!」

パスカルが台風のような風で魔物を放り投げたのを見て、わたしはそのまま突き落とすように左手で斬りつける。前には出すぎない。けれど、迫ってくるなら反撃する。今は前線に出てくれる人がたくさんいるのだ。ちゃんと動きを見て、次の行動を考える。

「やぁっ! 鷹爪襲撃! 刹破衝!」

ソフィが鋭い蹴り上げと蹴り落としを行い、魔物を突き飛ばす。彼女の相手をするのは分が悪いと思ったのか、魔物は詠唱中だったリチャードさんに向かって走り出す。
わたしはサッと間に入って、なんとか攻撃を剣で受け止めた。

「よ、いしょっと!」
「すまない、シオリさん」
「大丈夫だよ!」
「翠力の暴風!」

ちゃんと役に立てたならよかった。彼が詠唱していた輝術が発動して、物凄い風圧が牙のように魔物を噛み砕く。
それを最後に、魔物は沈黙した。