通路を抜けると、レンガ造りの地下通路のような場所に出た。
所々にあるロウソクの灯りでオレンジがかって見える。その場所で、リチャードは立ち尽くしていた。……足元に、彼を中心にするように倒れた騎士や兵士の中で、一人、立っていた。
「リチャード!」
「アスベル……来たのか」
わたしの手を解いて、リチャードの名前を呼びながら駆け寄る。
どこかぼんやりとした様子で振り返ったリチャードは、アスベルの姿を見て安心したようにゆるりとほほ笑んだ。
「見ての通りだ。待ち伏せを受けて部下が全員やられてしまった。なんとか僕だけは残ったが……」
「この先は危険だ。後の事は俺達に任せてもらえないだろうか?」
「それはできない。僕はなんとしても自分の手で叔父と決着を付けたいんだ」
即答に近い返事に、リチャードの強い意志を感じる。
その決意を見れば、アスベルがそれを拒むことはない。ただし、ならばせめて自分たちを同行させてくれ、と代案を出す。リチャードも、さすがに一人でこの先を進むのは危険だとわかっているのだろう。それならばお願いしよう、とと頷く彼に安堵した。
そうして今度こそ……と、歩き出す前に。リチャードの後ろ。ちょうど真正面に立つアスベルからは見えない位置で倒れていた騎士が起き上がるのが、わたしには見えた。
リチャードは気付いていない。彼に意識を向けていた誰もが気付いていない。騎士が剣を構えたのを見て、わたしは思わず飛び出した。
「リチャード、危ない!」
「!」
「シオリ!」
痛みとかではなくて、何か強い衝撃を受けたような気がする。
みんながわたしの名前を呼んだのを聞いて、わたしの意識はぷつりと切れた。